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デッキ編成 第一話本願寺挙兵 第二話比叡山の戦い 第三話比叡炎上 第四話三方ヶ原の戦い 第五話刀根坂の戦い 第六話朝倉滅亡 第七話小谷城の戦い
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二人捕まえるのに…大騒ぎ。 ヘリも登場。
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登録日:2011/09/06 (火) 21 21 06 更新日:2022/08/01 Mon 03 31 58NEW! 所要時間:約 7 分で読めます ▽タグ一覧 PC PS2 Wii ゲーム コーエー シミュレーション 信長の野望 地方格差 異色作 軍神強すぎ→PK化→弓強すぎ 革新 鬼畜ゲー 信長の野望 革新とは2005年にコーエー(現コーエーテクモゲームス)から発売されたシミュレーションゲーム 2005年に発売されたのはPC版で、2006年にはPS2版が発売 また、信長の野望シリーズお得意のパワーアップキット版も発売しており2007年にPC版のパワーアップキット、2008年にはPS2及びWiiでパワーアップキット(以後PKと表記)が発売された ★一枚マップ 今作の売りは何といってもこれ これまでのシリーズでは内政・外交や戦争はそれぞれ別々の時系列で行われていた しかし今作では、それら全てが日本の一枚マップにて行われる 内政や外交をしている間に別の武将達が兵を集めて他国に攻め込むこともできる 支配国が増えてくるといちいち全国でそれらを操作するのが面倒くさくなるだろう しかし、そういう時のために「委任」というコマンドがある これは内政や外交を任せたい国を選んで、金や兵糧・兵士などの物資を与えておけば自動的にそれら全てをこなしてくれる便利な機能 勿論戦争を仕掛けて欲しくない時ならそれを禁止することもできる ★箱庭内政 今作は箱庭内政だが天下創世の「町並みを作り→施設を建てる」と言うシステムを続投している。 ただし民の忠誠や治水などはオミット、簡略化されているのでスピーディーに進めることが可能。 一見簡略化のように見えるが1枚マップである事と他のシステムがシビアであるので上手く収まっているとも言える。 PKでは特産品を算出する奉行所と貿易システムも追加された。 ★戦争 今作では部隊を編成し行軍内容を指定した後は自動で戦闘が行われる。 勿論、ただ見ているだけでは どんな名将も敗北する ので闘志が溜ったら戦法を使ったり士気が落ちてきたら鼓舞(戦法の一つ、ほぼ成功する)や激励(城にいる留守番要因に頼む、有料かつ成功率低し)で士気を維持する必要がある。 また1部隊には武将を三人編成できるので短所を補ったり戦法の連鎖(必要闘志の高いものから順に連続で使用)を考えて編成する必要がある。 ★技術革新 天下統一のために必要なものは金、兵糧、兵士、人材、これらは当然だが鍵を握るのは技術 足軽、騎馬、弓、鉄砲、水軍、内政、築城、兵器の8のカテゴリーに分けられた技術が今作にはある 例えば足軽等の戦争に関する技術なら革新していくと部隊の移動速度が速くなる、攻撃力上昇、士気が上がりやすくなる等のメリットがありこれがなかなか馬鹿にならない というより技術を革新しなければ大軍を擁していてもアッサリ落ちるので革新は急務だったりする 技術革新をするには「学舎」というそれぞれの技術に応じた施設を建設する必要がある 革新する技術の段階によって必要な学舎の数が変わる 施設があるだけでは何にもならない、そこで技術革新をする適性を持つ武将三名集める 適性はD~SまであるがDでは技術革新は不可能 しかもSの適性を持つ武将もそう多くなく、いても技術革新の期間短縮に関わる政治のパラメーターが低いことが多い 上位の技術を狙うとなれば1~3年かかるなどザラにある また学舎自体も建築物の中ではかなり時間がかかる上に 適正がAの者が3人いないと建てることさえ出来無い(正確には建てるのも技術が必要) ので内政技術者がいないと技術革新は困難な物となる 更にPKでは貿易で友好を上げる事で「南蛮技術」という上記の技術とは違ったメリットのある技術を教えて貰うこともできる 南蛮技術は続投している技術革新と並行できるのもポイント (「しぃるど」とか「ぷれいとめいる」とか「びっぐくろすぼう」とか「ろんぐぼう」とか戦国らしからぬ物や「ふりんとろっくしき&ほいぃるろっくしき銃」に「かっぱんいんさつ」なる時代背景は?的な技術もあるが…) ★難易度 恐らく歴代最高難易度 それは慣れない内は内政にばかり時間をかけてその結果他国の守りが堅くなったり、すぐに攻め込もうにもあっさり返り討ちにあう等がこれまでのシリーズに比べてずっと多いから 早まってもいけないしモタモタしても駄目 戦況を理解するのは簡単じゃないのだ また自国が勢力を拡大すると各地の大名が包囲網を敷いてくるのでかなり鬱陶しくなってくる ★シナリオ 最初から5つのシナリオが用意されており、いずれかの時代からプレイを開始する また各地方の統一のみが目的という短時間プレイに適した地方統一モードもある ・尾張統一(1555年) 織田信長が父信秀の念願尾張統一を果たして尾張斯波家を追い出した時期 同盟を結んでいる斎藤家、そして東の今川家に不審な動きが……… ・龍虎相撃つ(1561年) 桶狭間の戦いで今川義元が散り、松平元康(徳川家康)が岡崎に根城を構える そして武田信玄と上杉謙信が川中島でぶつかろうとしていた…… ・義弟離反(1570年) 浅井長政の裏切りにより、織田信長に包囲網が敷かれる 同盟している家康も拠点が岡崎城しかなくまさに四面楚歌 ・夢幻の如く(1582年) 日本史的に有名な本能寺の変が起こる 歴史イベント無しの織田軍なら確実に天下を取れる ・群雄集結(1557年、仮想) 本来ならば生きていない織田信秀や本願寺蓮如、北条早雲等が生きていたり、生まれてもいない伊達政宗や真田幸村がいたりやりたい放題な仮想シナリオ 羽柴秀吉、柴田勝家、明智光秀が織田信長の配下ではなくバラバラに陣取っている ★主な大名 尾張統一(1555年)での主な大名達 一部説明書からの記載有り ・太田家 生涯を通して北条家と戦った太田資正が大名 技術は大したものがなく、西に武田信玄、南に北条氏康の名門がいて大ピンチ まずは何とかして北の長野業正と同盟を結ぶべし 北条からの攻撃は櫓で耐える、そして武田の攻撃は停戦で耐えよう 余裕ができたら足利や里見を潰す、運がよければ北条も潰せるかもしれない ・織田家 言わずと知れた織田信長が大名 人材は優秀、技術は鉄砲に長ける 東の今川家が最大の恐怖だがそれを越えれば自ずとやるべきことが見つかる あの桶狭間の戦いが起きれば……! 上杉家(長尾家) 公式チート家その1。 領地には金山銀山が数ヶ所存在するため、財政は安定。 さらに、家臣も統率・武勇に長けた者が多く、大名の上杉謙信に至っては統率120・武勇105と正に軍神。 (統率、武勇、知略、政治の各パラメータは家宝などによる補正を除き、上限が120である) 欠点をあげるとしたら、知略の高い武将に恵まれていないぐらい(1555年だとこの欠点も解消されている) 普通に(騎馬や足軽で)攻撃しているだけでも下手をすれば4桁の兵士を倒し、戦法発動で4~5千も削っていくのを見れば凄さが解るというものである (PKの諸勢力は上杉対策であるというのが定説となる位である) 無印版では騎馬の技術を習得していき謙信(勿論知力要員や連鎖要員も随伴)が突撃すれば大抵の武将も城も壊滅するので初心者向きの勢力では最もプレイしやすいと思われる。 武田家 公式チート家その2。 上杉家同様、領地には金山銀山が複数存在する。 家臣団は上杉家に比べると武勇で劣るも、統率はほぼ互角。 知略や政治面では上杉家以上とまるで死角がない。 家臣の中でも真田幸隆…と言うより真田の武将はほぼチートである。 武家としての欠点を挙げる方が難しい…。 と思われがちだが、弱点が存在する。 それは「年代」である。 1570年代になると武田家が誇る優良武将の大方が寿命を迎える年なのである。 何より、上記の上杉と隣接しているので迂闊に進行すると牙を向かれるという恐怖にも苛まれる 家臣団が優秀だとしても謙信の破壊力の前には為すすべもなく壊滅させられてしまう上に国力が下回っているシナリオが多いのも難点となっており実は初心者には厳しかったりする。 ・島津家 史実では南九州を征した島津家 一門には島津四兄弟(家久はまだ)をはじめ彼らの父貴久、その父日新斎と優秀な人材が多い 鉄砲技術に長ける なるべく素早く肝付、伊東を潰し同盟が切れたら相良を潰す そして収入はきちんと確保しよう、人材が優秀ということは金がかかることになるからだ 南九州を征したら大友との決戦の覚悟を決めるのみ 織田家と並んで初心者向けな大名…と思われがちだが九州は激戦区で大友家や龍造寺にも猛将、知将が存在し勢力拡大していくのである程度の見通しを立てることは必要 ・北条家 公式チート家その3 と言っても上杉武田に比べれば武将の平均能力は高くないが北条氏康の存在が大きい 氏康の平均能力は全武将中トップクラス まずは太田を潰し、長野や里見を潰して関東の覇者を目指すのだ ただし、その間に同盟が切れる武田に要注意 技術は内政に長けるが戦争に勝つためには足軽技術を革新するといい 内政技術はそれからでも遅くない ・今川家 弓技術に長け、国力もなかなか 太原雪斎をはじめ人材もそれなりで後ろは同盟している武田と北条、更に松平家が従属とウハウハ 織田家を攻めればいいだけだが、今川義元が軍を率いて織田家に攻め込むなら太原雪斎を部隊に加えておくこと 雪斎がいないと桶狭間で義元が死にます それを除けばこのシナリオで有力な大名の一つである。 PKなら弓を極めると鉄砲マンセーの織田家をひねり潰すのが更に容易になる。 ・松平家 桶狭間で義元が討ち死にすると暫くして松平元康(徳川家康)が岡崎城で独立 事前に駿府城などの兵力を岡崎城に移しておくと今川家を潰すのが簡単になる しかし問題は北に武田、東に北条という名門がいること 狙われやすい駿府城の守りは崩してはならない ・三好家 阿波、堺を領地に持ち人材・収入がいいことや周りに強敵がいないことから天下統一しやすい ……が、1560年頃から寿命が近い武将が多い 武田家よりも素早く勢力拡大を目指して長寿で優秀な人材を確保しよう とりあえず四国を制覇して近畿一帯の掌握が目標 ・伊達家 当然まだ伊達政宗や片倉重長はいない 人材もお世辞にもいいとは言えず、東北は制覇していっても官位は貰えない 尾張統一での伊達家の難易度は高いと言える だが北の斯波や西の宇都宮は大したことはない 毛利家 三矢訓や開始時の「当家は弓の技術に優れて…」の台詞から弓に独自技術が!!! …と思わせておいて特殊技術は水軍にある残念な家 (なお、弓の独自技術は今川と足利です) とは言え弓に対する適性が高いので技術を伸ばしておいて損はしないだろう 知略に優れた武将が多めで浪人も多く出やすいのもメリットである とは言えやはり一線級の家と比べると小粒感は否めない(四国では長宗我部と張り合えるが) …がPKによって弓が異常に強くなった事が追い風となり上位に食い込めるスペックの家となった 余談だが、某笑笑動画には長尾家、武田家に恐ろしい条件を加えた上で統一を目指す動画がある。 条件のいくつかを紹介する。 長尾家、武田家の武将の登用、処断、引抜禁止 両家の武将超絶強化 両家の支配する城の兵力500000 他にも条件はあるが、ここでは割愛する。 興味がわいた方は「織田家の野望」で調べれば幸せになれるだろう。 追記修正よろしくお願いします △メニュー 項目変更 この項目が面白かったなら……\ポチッと/ -アニヲタWiki- 次作の天道でも言えることだけど、このゲームのキーワード、それは「れっつ火事場泥棒!」(某サイトより -- 名無しさん (2013-09-07 14 32 26) 改造スレが一番盛り上がった作品 -- 名無しさん (2016-02-13 12 04 24) PK -- 名無しさん (2016-04-02 15 30 49) ↑記述ミス PKはツッコミどころだらけだったな。「貴様らの戦法など我らがシールドの前には無力だ」とか「大砲より遠くまで届く」矢とか牛とか戦国時代の凄さが滲み出てた(笑) -- 名無しさん (2016-04-02 15 33 36) OMIKATAの記述が必要な気がする -- 名無しさん (2016-04-02 15 57 35) ↑と言うか信長の野望でシステム上起こる理不尽、笑ったり突っ込んでしまう面をまとめて記載する「ここが変だよ信長の野望」みたいな項目作成してもいい…と思うけどニコニコ百科とかぶるしなぁ… -- 名無しさん (2016-04-02 16 13 27) ↑2 弓の項目参照 -- 名無しさん (2016-04-07 21 27 19) 信長の野望じゃなくて、信玄の野望だと思ったりする -- 名無しさん (2016-11-17 23 30 28) ここからなんだよな、チュートリアルが面白くなってきたのはww -- 名無しさん (2016-12-30 18 31 31) PC無印、細々とした調整が入ったCS無印、そしてCS無印ベースで追加要素が入った両PK、とそれぞれでゲームバランスが全く違う顔を見せる。PK追加要素は色んな意味でバランスが変な方向にぶっ飛んでいるので、ゲームバランスとしては騎馬が弱体化したCS無印が一番纏まっているような気がする -- 名無しさん (2020-04-26 02 48 34) 野望シリーズは歴史破壊しまくるのばっかしかない。コーエーは誠歴史の破壊者よのう -- 名無しさん (2021-05-18 12 32 52) 名前 コメント
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まだ日本に大いなる意思の影響が出始める前のフランス。 インターポール所属のウィンスペクター隊長香川竜馬は今まさに出勤して、司令部の所定の席に着いたところだった。 ここのところ、幸いに出動回数の少ないウィンスペクターであったから、自然、竜馬の顔も穏やかだった。 「隊長、アールグレイをお持ちしました」 竜馬が顔を上げると、緑色のアンドロイド、ウォルターが湯気の立ったカップをトレーに載せて立っていた。 ほんのりと良い香りが周囲を包む。 「おはようウォルター。いつもすまないな」 「いいえ。十年以上一緒に居るのです。隊長の嗜好は大体分かっています」 竜馬が言うと、ウォルターは固い言葉で返した。竜馬はカップを手に取り、アールグレイを少し口に含んだ。 「ところで、バイクルのオーバーホールの件だが、最新の進行状況はどうなっているかわかるか」 「はい、先程東京から連絡が入りまして、88パーセントまで完了。あと数日以内にチェックが完了し、帰還可能だそうです」 「そうか。それは良かった」 竜馬の顔が綻ぶ。 名古屋弁の陽気な声が聞かれなくなってから、今日で実に2週間になる。 バイクルの居ない基地内は、やはりどこか活気がなく、改めてメンバー達は彼のもつ力の強さを知ったのだった。 「さて、性に合わんが報告書作りでもするか」 そう言って竜馬が自分用の特殊ノートPCの画面を見た瞬間、竜馬の顔が凍りついた。 「どうしました、隊長」 ウォルターが訪ねる。 竜馬は何も言わずに、ウォルターにPCの画面を見せた。そこにはこう表示されていた。 「特警ウィンスペクター隊長、香川竜馬殿。本日午後2時、日本大使館前に来られたし。 メサイヤ」 フランス パリ 午後2時 街角のカフェではフランス人のカップルや外国人観光客が午後のひとときを過ごしていた。 竜馬もそうした人々に混じってカフェの椅子に座っている。向かいに座っているのはフランス人女性。だが、どこか仕草が男くさい。 「改めて、来てくれたことに礼を言うわ」 女は竜馬に向かってフランス語でそう言った。 「そんなことはどうでも良い。それよりも…」 「分かってるわ。何故破壊されたはずの私がここに居るのか。目的は何か、でしょ」 女が竜馬の言葉を遮って言う。 「そうだ。単刀直入に言って欲しい。お前は何故ここに居る」 竜馬は強い目で女を見つめた。女はそれにまったく動じなかった。そして、淡々と語り始めた。 「確かに、あの時私はあなた方に破壊された。だが、大いなる意思の元に蘇った」 「大いなる…意思。一体何者だ」 竜馬が訳が分からないという顔になる。 「私にも詳細は不明だ。だが自爆した次の瞬間、内容はよく覚えていないが大いなる意思と名乗る不思議な声に導かれ、気が付いた時には自爆装置が解除され、現在のフランスに居た」 竜馬は最初、信じられなかった。だが、メサイヤは人間の脳を利用したサイボーグであり、世界に1体しか存在しないことはすでに知っていた。仮に複数体存在したとしても、 メサイヤ事件でその存在がウィンスペクターレベルの階級まで知れ渡ってしまった以上、破棄されていると考えるのが論理的である。 また、当時の記憶を竜馬以上に詳細に覚えていたことから、結局竜馬は彼女が本物であると結論付けた。 「疑っているのでしょう。確かにでき過ぎた話だとは思うわ。だが、私がここに居ることは事実よ」 女が竜馬の表情を見て言う。竜馬は紅茶を少し口に含んだ。 「わかった、信じられないが、まあ百歩譲って信じよう。それで、目的は何だ」 「大いなる意思から家族を守ることだ」 女の口調が次第に男っぽくなってきた。 「何だって。大いなる意思というのはお前を復活させた、いわば恩人ではないのか。それから家族を守ると言うのは一体」 竜馬が理解できないといった表情をする。女は表情ひとつ乱さずに言った。 「大いなる意思は私の知る限り、多くの危険な存在をこの世界に復活させてしまった。大いなる意思が何を企んでいるのか私にはわからないが、この危険な存在に私の家族が脅かされる可能性も否定はできない」 「危険な存在だと」 竜馬が驚いた表情で声を荒げる。 「そうだ。それもあなた方が知っているものだけではない。あなた方も私も知らないような様々な存在が復活し、野望を成し遂げる機会を伺っている」 「そんなことが…」 「私はそれを伝えるためにあなたをここへ呼んだ。私はこれから日本へ行くが、近いうちにあなた方かそれ以外の組織に、NATOから私の破壊命令が下るだろう。 自爆装置自体もいつ再起動するか分からない。あるいは大いなる意思によって破壊されるかもしれない。もし、そうなった場合、頼れるのはあなた方だけなのです」 それだけ言うと、女は何も言わずに立ち去った。 竜馬はただ、深く考え込んでいた。 その時、通信機の音が鳴った。竜馬はパトロールと称してメサイヤのことは隠してウォルター以外には街に出ていたことを思い出した。 通信機に応答する。そこから聞こえてきたのは、彼の上官であるロバート=ピカード司令官の声だった。 「竜馬か。たった今、緊急指令が下った。メサイヤが復活して日本へ向かったらしい。それを破壊せよとのことだ。至急帰還しウォルターと日本へ向かって欲しい」 時は現在に戻り横浜市、八千代区… 何の変哲も無い小さな都市であるこの町に、何の変哲も無い男がいた。 「…おはようございます…」 疲れているのか、それとも何も考えていないのか、どこか気の抜けた声が小学校の教室から聞こえる。 教師の声に耳を傾ける生徒は少ない。いや、まったくいないわけではないのだが、たいていは一瞥して終わりである。 生徒達からも家族からも空気のように扱われている男…市川新市は、今日も何事も無く、無難に仕事をしていた。 かつてゼブラーマンとしてこの町を救い、この国を救い…ひいては地球全体を救ったことが、まるで夢物語であったかのように。 「ふう…」 市川は深いため息をつき、数少ない話し相手…同じ趣味を持つ生徒、浅野と寂しく昼食をとっていた。 「…先生」 「…はい?」 「今日やってるニュース、見ました?」 「…ああ…すいません。あんまりニュースとかは…」 「裏山に隕石が落ちて、TPCが調査してるって…」 「…へぇ…」 「…先生!!!」 少し声を荒げ、浅野が市川の目をじっと見つめる。 「はっ…はい…」 「…先生はゼブラーマンになって調査しないんですか?」 「…ボクは…もう……………やめたんです」 「…やめた?」 「はい…せっかく宇宙人を倒したのに…なんか、みんな僕のことを…ゼブラーマンを忘れてしまってて… 僕は所詮、その程度の人間なんだなって…わかったんです」 市川の言葉は嘘ではなかった。 謎の宇宙人による地球侵略計画を阻止したゼブラーマンは、最初は八千代区のヒーローであった。 連日のようにマスメディアがゼブラーマンを取り上げ、狂ったように紙面を賑わせた。 「新たなるヒーロー・ゼブラーマン!!」「正体は誰?謎のニューヒーロー」といったオーソドックスなものから、 「今年の流行語確実!」「ゼブラーマンに学ぶファッションチェック」などわけのわからないものまで… コンビニや書店の棚にはゼブラーマンがところ狭しと並び、バッタモンの店やいかがわしい屋台までできて社会問題になった。 だが… 「この八千代区にはもうインベーダーは来ない。 それに最近はバダムも怪獣も出ない…平和だと言う事が分かって、誰も騒がなくなって…」 そう…マスメディアにとって、大衆にとって、ゼブラーマンは一種のブームでしかなかった。 新たなヒーローが登場し、新たな事件が勃発するにつれ…ゼブラーマンを特集した雑誌は一つ減り、二つ減り… そして、ついに誰もがその名を口にすることは無くなった。 「試しに、妻に聞いてみたんです…『最近、ゼブラーマンを見なくなりましたね』って…」 「なんて言ったんですか?」 深い沈黙の後、重い口から出た言葉は…あまりにも冷酷で、無味乾燥なものだった。 「『ゼブラーマン?あんたまだそんな話してるの?』って…」 市川の目頭に熱い物がこみ上げる。 年下の浅野のほうが、まるで保護者のようだ。 「先生…」 「…すいません。だけど…ボクはもうゼブラーマンには…」 ならない、と言おうとしたそのときである。 「あーっ、よかったよかった。ここにいたんですね先生!」 妙に明るい声が響き渡る。 声の主は一本木先生。名前のとおり明るくまじめな男である。 「あ…一本木先生…」 「お客様が見えてるんですよ。それでどこにいるのかなぁと思って探したんですが…いやーまいったまいった…」 「ボクに…ですか?」 「はい!あ、職員室に待たせてますんで…早く言ったほうがいいですよ!!」 親指を立ててサムズアップのポーズをとる一本木。まるで一昔前の青春ドラマのようだ。 誰だろう…そう思いながら重い腰を上げ、市川は職員室へ向かった… 「失礼します…」 恐る恐る職員室に入る市川…そこには見慣れない女性がいた。 モデルのようなスタイルの良さ、小動物のような愛くるしい顔… どこかとぼけた雰囲気のその女性は、ある意味市川の波長に近いものがあった。 「あ、こんにちは…あの、市川先生ですか?」 「はい…ボクが…市川ですが…」 「よかったぁ♪あの、私如月ハニーって言います!」 「きさらぎ…?…えっと…どういったご用件でしょうか?」 「実は…あの…隕石が落ちましたよね?裏の山に」 「隕石…あ、ああ…ハイハイハイハイ…なんか、ニュースでやっていたそうで…」 「そうですそうです!!その隕石が、実は…」 「防衛軍が処理してるんですよね」 「あ。…それを言おうと思ってたのに…」 「っ…!!すいません!すいません!」 「あ、違うんです、そういうつもりじゃ…」 「でも、その、あの…」 …話が進まないのでかいつまんで説明するが、 要するに市川は隕石の調査に協力してほしい、ということをとある人物から頼まれたそうである。 「そのとある人っていうのは…」 「よくわかりません…ごめんなさい…」 「そうですか…で、ボクは何をすれば…」 「…あの…その……に…」 「えっ?」 「ゼブラーマンになってください!!」 「ゼブラーマンに…?」 思わず目をぱちくりさせる市川。 「やっぱり…ダメですか…?」 「い…いいえ!!是非!是非!!お願いします!!」 「良かった…じゃあ行きましょ?」 「はい!あっ…でも、授業は…」 「大丈夫です、あの元気な先生がやってくれるって」 「元気な…ああ、一本木先生ですか?」 「はい!!だから、早く行きましょう!」 予想外だった。 再びゼブラーマンになれる…あのコスチュームを着て… それだけでいてもたってもいられなくなった市川は、廊下で小さくガッツポーズをとり… 「やったあああああああああああああああああああああああ!!」 力の限り叫んだ…まあ、もっともその声は、何も知らない生徒達にはただの騒音なのだが。 それでも、その叫びの意味を理解している一人の生徒がいた。 「先生…がんばって…」 小さく浅野が呟く。その声が、市川に聞こえた気がした。 数十分後…家に戻り、カバンを取り出し、ハニーと二人で裏山へ向かう市川。 防衛軍とTPCの物々しい警備に一瞬たじろぐが、ハニーの「行きましょ?」という声であわててついていく。 「あの…隕石っていったいどんなものなんでしょうか?」 「私も良く分からないんですけど…隕石っていうか…カプセルみたいな感じみたいですよ」 「カプセル…?じゃあ宇宙船かもしれませんね」 「はい…だからTPCは、このことをトップシークレット扱いにしてるんですよ。 下手に公表すると、また宇宙人が攻めてきたんじゃないかって勘違いするかもしれないから…」 「なるほど…あっ…もしかしてあれですか?」 市川が指差した先には…人が一人入れるほどの白いカプセルがあった。 表面は卵のようにすべすべで、大気圏を突入したにもかかわらず傷一つついていない。 「うわぁ…確かにこれは…ちょっと公表しないほうがよさそうですね…」 「はい…それにしても一体何なのかな…」 試しに近寄り、二、三度ノックをするハニー。 「あっ…うかつに触ると危ない…」 「…キャッ!!」 ノックをした場所から、水蒸気のような煙が噴出す。 驚いて尻もちをつくハニーを尻目に、カプセルがゆっくりと開き始めた… 「「あっ…」」 ほぼ同時に声を上げる二人。その中には…ボロボロの人間がいた。 だが、普通の人間と何かが違う…まるで宇宙服のスーツのような服を着込んでいるのだ。 「宇宙船に乗ってきたのかな…?」 「かもしれませんね…でも一体なんのために…」 今度は市川が手を伸ばそうとする。とそのとき、藪の中から足音がした。 「二人ともご苦労さまです…」 声の主は内藤。若くして政府の要職に就いているエリート中のエリートだ。 「内藤さん…」 「あっ…ど、どうも…」 「ご苦労様でした。二人とも」 「ありがとうございます…あの…ちょっとお聞きしたいんですけど…」 「どうしました?ハニーさん」 「この人…一体誰なんですか…?どうしてここに…」 「それはトップシークレットということで…お答えできません」 「あ…そ、そうですよね…あともう一つ質問があるんですけど…」 「手短にお願いします」 「ハイ…あの…どうして市川さんも一緒なんですか? このカプセルを開けるだけなら、私一人で…」 「彼がゼブラーマンだから…」 「それは分かります。だけど、ゼブラーマンを呼んだ理由は…?」 「理由…理由ね…クスクスクスクス…」 不気味な笑みを浮かべる内藤。顔を見合わせ、眉をひそめる二人。 「あの…ボクが呼ばれたのは…いったい…」 「…邪魔だからですよ」 「えっ?」 「あなたたちは、我がバダムの計画にとって邪魔だ…だから三人を一つの場所にまとめる必要があったんです」 「内藤さん…あなた一体…」 「愚かな奴…一度戦った相手の顔を忘れたか」 内藤の体が闇に包まれ、次第に本性を現していく。 その姿を見て、ハニーは驚愕した。 「まさか…お前は…」 「そう…我が名はブラック・クロー!シスター・ジル様、バダムのために戦う究極の戦士!!」 「ブラック・クロー…生きていたなんて」 「フン…大いなる力を得た我々の前では、貴様等など所詮ただのクズだ」 「何度よみがえっても同じよ…市川さん!」 「…はいっ!!」 「ハニー…フラァッシュ!!!」 光に包まれ、艶やかにキューティーハニーに変身するハニー。それに対して… 「わっ…ちょ、ちょっと待って…」 カバンからゼブラーマンの衣装を取り出し、着替えだす市川。実に好対照である。 「ある時はナースハニー…ある時はストリートシンガーハニー…そしてまたある時は女教師ハニー… しかしてその実態は…愛の戦士!キューティーハニーさ!!」 「おおっ…かっこいいなぁ…よし、ボクも…」 ゼブラーマンが名乗りを上げようとしたその時…ブラック・クローがキザに指を鳴らす。 「お前たちの相手は私ではない…こいつだ!!」 そう言って杖を振るブラック・クロー。その先からは、同じ四天王のゴールド・クローが現れた。 「ゴールド・クロー!」 「フハハハハハ…久しぶりだなキューティーハニー。ゼブラーマンともども片付けてくれるわ」 「後は任せたぞゴールド・クロー」 「待てブラック・クロー…あのカプセルは良いのか?」 「あれは所詮ただのガラクタ…おそらくもはや動くことはあるまい」 「フム…それもそうだな…いずれにしてもこやつらを始末し、シスター・ジル様への生贄にしてくれるわ!」 「頼んだぞ…」 笑みをこぼし、消え去るブラック・クロー。 「待てっ!!」 追いかけようとするゼブラーマン。しかし… 「お前たちの相手は私だと言ったはずだ!」 辮髪を振り乱し、ゼブラーマンに立ちふさがるゴールド・クロー。 「くっ…」 「ゼブラー・キーック!」 「ハニー・ブーメラン!!」 二人が同時に攻撃を放つ…が、ゴールド・クローにはまったく利いていない。 「フン…なんだそれは。蚊でも止まったかと思ったぞ」 「何だって!?」 「そんな…私たちの攻撃がきかない…」 「今度はこちらの番だ!せえええええええいっ!!」 鉄の爪を振り乱し、二人につかみかかるゴールド・クロー。 両腕で必死に受け止める二人だが、こらえているのがやっとである。 「うぐっ…つ、強い…」 「なんなの…これが大いなる意思の力?」 「フン…無様だな、キューティーハニーにゼブラーマン。あのガラクタともども、葬り去ってくれるわ!!」 とどめをさそうと辮髪を再び振り回すゴールド・クロー。しかし…彼女は気づいていなかった。 カプセルの中の人間が、ゆっくりと動いていることに… 「ぐわあああっ!!」 「きゃあっ!」 二人の体に少しずつ辮髪が近づいていく… 「楽には殺さんぞ…フフフフ…さぁて、どちらから始末しようかな?」 勝利を確信したゴールド・クロー。だが、その余裕が破滅を招いた。 「あれっ…?」 「とどめをささない…」 驚く二人。ゴールド・クローの顔を見ると、目を見開き断末魔の表情を浮かべている。 「うううううっ…」 「どうして…きゃあっ!!」 何気なくゴールド・クローの腹に目をやるハニー。すると、胴体を何者かの腕が突き抜けていた。 「これは…」 「なっ…なんだと…貴様…ぐうっ…何者だ…」 「…キャシャーン…」 男はそれだけ言うと、腕を引き抜く。 「ぬうううっ…おのれキャシャーン…だがこれで済むと思うな!!」 「無駄だ…あんたの体はもうボロボロだ…」 「なにっ!!」 キャシャーンが腕を引き抜くと、がくりとゴールド・クローが崩れ落ちる。 「フフフ…見事だキャシャーン…そしてゼブラーマンにキューティーハニー… だが貴様たちはまだ知らぬ…シスタージル様の大いなる計画を…」 「大いなる計画だと!?」 「どういうこと?説明しなさい!!」 「フフフフフ…もうすぐだ…もうすぐ日本は…いや、世界は終わる… ふふふふふふふ…ふはははははははは!!」 笑いながら血を吐き、息絶えていくゴールド・クロー。 その術を、三人はただ黙って見ているだけだった… 「フン…役立たずめ」 ゴールド・クローが死ぬ様を、ジルタワーで見つめる内藤。 その後ろにはコバルト・クローとスカーレット・クローがいた。 「所詮はただの力馬鹿…あの程度の者だったという事ね♪」 「しょのとおり。それにしても…あのキャシャーンとか言う者は…ただのガラクタではないかもしれぬぞ」 「まあ、楽しみ♪」 「気にすることは無い。それより…私は次の作戦に移らせてもらうぞ」 一人ジルタワーを後にする内藤。向かった先は…東京都庁だった。 大いなる意志により蘇った悪の組織、怪人、怪獣達による被害は日本国内に留まらず世界各地及び月面にも及び、被害は増大の一途を辿っていた。 そんな中、地球防衛軍極東エリアの最高責任者、ナンゴウ長官を乗せたウルトラHSTは統合会議が開かれるスイスを目指して飛んでいた。 「長官、どうやら当初の予定通りに到着できそうです」 「そうか、それは良かった」 ナックル星人の襲撃により出発が遅れていたので、それを聞いたナンゴウは少し安堵の表情を浮かべた。 出発してからもナンゴウの元に入ってくる情報は良い知らせよりも悪い知らせの方が多いのであった。 確かに平和守備隊・嵐山長官がヒーロー達を取りまとめ、各所で敵を撃破してはいるが、 それは、あくまでも防戦であって、大局的には状態は良くはなっていないのであった。 だからこそ、地球防衛軍も各エリア毎に対処するのではなく、全エリアが一体となり大いなる意志に対抗しなければならないのであり、そのためにも早く会議を開かなけ れぱならないのであった。 「大河内君のスーパー轟天もあと僅かで完成する。そうすれば壊滅した防衛システムに代わって外宇宙からの侵略もなんとか阻止できる。そうすれば大いなる意志に対して防衛軍全体で対処できる…」 『大いなる意志』の正体探査、各国と連係した救済活動、敵撃破等、防衛軍としてやらねばならない事は山積みであった。 それらの今後について思案するナンゴウであったが、 防衛軍は既に高倉の手に落ち、スーパー轟天もバラノイアの襲撃を受けているとは思いもよらなかった。 「長官、大変です。この機に向かってくる物があります。その数3!」 様々な考えを巡らせていたナンゴウの耳に操縦士から声が聞こえた。 「何だと!正体は!」 「分かりません!」 「構わうな、振り切れ!ウルトラHSTなら振り切れるはずだ」 その報告を聞き慌てる命ずる副官達 「ダメです。振り切れません」 「何だと!」 「HSTで振り切れないと言うのか?」 それを聞き、驚きと共に立ち上がるナンゴウ。 次の瞬間、ナンゴウ長官を乗せたウルトラHSTは空中で大爆発を起こした。 東京都庁の地下深く。陽の光も届かぬほどの地下室に、政府の要人や著名な博士たちが囚われていた… 将軍と呼ばれ、自らも前線に立ったBF隊司令官、倉馬鉄山。 一切の経歴は不明ながら、日本の警察に太いパイプを持つ男、通称暗闇指令。 暗黒科学に対抗すべくゴーグルファイブを結成、縁の下で彼らを支え続けた本郷博士。 ヒース星人ユイ・イブキとして電撃戦隊を指揮した伊吹長官。 オーラの力を持った若者たちを光戦隊へといざなった姿長官。 そして…非凡かつ柔軟な発想で数々の事件に挑んだ渡来角之進教授。 文武に長けた者もおり、脱出しようと思えばいつでも出来る場所である。 だが、誰一人としてここから抜け出そうとはしなかった…いや、出来なかったと書くほうが正しいのかもしれない。 「やあ、人質の皆さん…ここの暮らしには慣れましたか?」 皮肉めいた口調で内藤が尋ねる。が、誰一人として答えるものはいない。 「…都庁の地下でありながら皆様が逃げられない理由…忘れてはいないでしょうね?」 「…もちろんだ」 最初に口を開いたのは、暗闇指令だった。 「中性子爆弾を我々に埋め込むなど…古臭い手だ」 「確かに。ですがその古臭い手を、どうすることも出来ないのは事実でしょう?」 「くっ…」 「こうでもしなければ、たちまちこの場所から逃げられてしまいますからね… 取り外そうとすればどうなるか…本郷博士や渡来教授はお分かりでしょう」 「爆弾が反応してドカン…そうなりゃ都内全域がおじゃんだね」 とぼけた口調で渡来が答える。 「対した余裕ですね…まあ、ここでの生活ももうすぐ終わりますが」 「どういう意味だ!」 姿長官が尋ねる。その問いに、醜く唇を歪める内藤。 「あなたたちは日本中に散らばっていただきます…文字通り人間爆弾としてね」 「なにっ!!」 「この東京もか…」 さすがの倉馬将軍の顔にも動揺が走る。そして、姿長官が誰もが思っていることを口にした。 「いいえ。さすがにこの東京は…我々の前線基地になりますしね」 「前線基地?」 「その通りですよ伊吹長官。この東京都を…独立させます」 全員の顔に戦慄が走る。 「馬鹿な!!!」 「厳密に言えば、東京23区以外の日本が独立するというべきでしょうか… いずれにしても、これだけ多くの防衛基地が存在する場所を失うのは、我々バダムとしても惜しいですからね。 では、また後ほど…」 部屋を後にする内藤。その後を、日本の指導者たちはただ黙って見るだけだった… 「なんということだ…このことを誰かに知らせなくては」 将軍の顔に怒りの炎が宿る…が、今はもどかしい思いでただ立ちすくむのみだった。 警視庁のとある一室。 古ぼけたコンピューターの前に、一人の男が立っている。 彼の名は、正木。かつてウィンスペクターとソルブレインの初代本部長を任された人物である。 ここはかつて彼が指揮を執った司令室である。 ソルブレインの創設から既に10年以上が経過し、司令室が別の部屋に移転したため、この司令室は使われなくなって久しかった。 正木は、埃をかぶったかつての自分の椅子に座ると、目の前にあるモニターの埃を払い、そっと言った。 「マドックス」 その声に反応して、壊れかけたスピーカーから声がする。 「マドックス…起動しま…す」 少しのタイムラグを置いて、再び声がする。 「マドックス、正常に起動しました。命令をどうぞ」 「そうだな。まずは日付のデータを修正してくれ」 正木がかつてと同じ声で言う。 「了解・・・修正完了。」 「では次に、重要な命令を下す。都庁のコンピューターにアクセスできるか」 「可能ですが、第一級の命令コードが必要です」 「正木、WSP、α1」 「命令コード、声紋、共に正常に認識しました。アクセスしますか」 「いや、待ってくれ。状況を説明する」 「了解しました。どうぞ」 正木は、軽く息を吐いて呼吸を整えると、咳払いをしてマドックスに話しはじめた。 「良いか、良く聞いてくれ。現在、大いなる意志と名乗る謎の集団によって日本中がパニックになっている。そして、都庁に対策会議の為に招集されたメンバーがもう一晩も連絡を寄越さない。 攻撃を受けた可能性もある。よって、彼らが今どこに居るか調べたいのだ」 「了解しました。作業を開始しますか」 「まだだ。今、警視庁をはじめ色々な場所のコンピューターが都庁に探りを入れようとしている。彼らの動きをくれぐれも妨害しないでくれ。では始めてくれ」 「了解。アクセスを開始します」 その声と共に、マドックスがフル稼働状態になる。 正木は、机の上の埃を払うと、ドアの外に立っている1体のロボットに気が付いた。 「入ってくれ。君をここに呼んだ理由は、わかるな」 「ええ、わかりますわ本部長」 ロボットは頷くと、テーブルを挟んで正木の前に立った。 「人質の皆様、こんにちは」 鉄山将軍たちが捕らえられている都庁の地下室に眼鏡をかけた長身の男が現れた。 「あの男は…」 暗闇指令がその男が誰か気づく。 「これは暗闇指令、あなたも内藤さんの人質になっていましたか」 「田崎、貴様はドールハウスに始末されたはずだか!?」 暗闇指令が田崎に叫ぶ。 「私はあの時、私の邪魔をするドールハウスによって投獄されましたが、内藤さんの仕事を手伝うのを条件に釈放されました」 「内藤め、そこまでしていたのか!」 鉄山将軍が怒りをあげながら叫ぶ。 「他にも元月面基地の冴島長官も内藤さんの手ほどきで防衛軍の月面支部の長官となりましたし、地球は内藤さんに委ねられました」 「こ、こいつ…」 一同は内藤と田崎に怒りを隠せなかった。 「では、おしゃべりはここまでです、あなた方に紹介したい人を呼びましょう。よし、入れ!」 田崎の合図でパンサークローの戦闘員に取り押さえられた軍服姿の初老の男が入ってきた。 「ナンゴウ長官!」 伊吹長官がその人物の名前を叫ぶ。 地球防衛軍極東ゾーンのナンゴウ長官であった。 「すまなかった、私はスイスの統合会議に向かう途中にバダムに襲われてそのまま捕らえられてしまった」 「まぁ、これで地球防衛の要であるメンバーはここに集いました、 既にナンゴウ長官にも中性子爆弾を埋め込みましたのでこれであなた方も逃げ場はありません」 「おのれ…チェンジマンが戻ってきてくれれば…」 伊吹長官の言うとおり、彼らが束ねるヒーローたちも各地でそれぞれの戦いを行っていた。 このまま、中性子爆弾は爆発してしまうのか? 同時刻… 本郷博士等を取り返すべく必死に走るゴーグルブラック、黒田官平とニンジャブルー、サイゾウ。 官平はゴーグルファイブ解散後は東都大学の未来科学研究チームに所属しながら本郷博士の研究の手伝いをしていた。 その本郷博士が都庁に捕らえられていると聞いて、官平に弟子入りを志願したニサイゾウと共に救出に向かうことになった。 「はあはあ…都庁の地下ってこんなに深いのね」 「しゃべると余計に疲れるぞ!」 「ヒイ、ヒイ…あっ、もしかしてあの部屋…」 「間違いない…行くぞ!」 ドアを急いで蹴破る黒田。しかし、中には誰もいない。 「…これは…」 「はあ…はあ…アレ?この部屋じゃないの?」 「そんなはずは…あっ!」 黒田がふと手紙を発見する。その中には、内藤の字でこう書かれていた。 『お馬鹿な侵入者さん達へ。まんまと罠にはまりましたね。残念ながら本郷博士等はもうここにはいません。一足先に、日本各地に散らせておきました』 「何だって!」 「トホホ…ボク達無駄足だったの?」 『この手紙を読んでいる頃には、部屋のセンサーが働いて、貴方達はレーザーで黒こげになっているでしょう。 せいぜい無駄な足掻きをして下さい。では、この胸のときめきを、あなたに。 内藤薫』 「か~っ、キザな手紙!」 「それどころじゃない!レーザーが来るぞ!」 部屋の上から、レーザー光線がスコールのように降り注ぐ。 流石の攻撃に、二人も変身する暇がない。「スーパー変化…熱っ!熱っ!」 「くっ…万事休すか…」 最早これまで…そう思った時である。 「チュチューン!こっちだ、こっち!」 コンクリートの壁を破り、大きなモグラのような怪人…モグラ獣人が現れる。 「も…モグラ?何でモグラがここに…」 「今はそんなこと気にしている場合じゃない!逃げるぞ!」 「う…うん」 モグラ獣人の掘った穴に逃げる二人。間一髪で、部屋は炎に包まれていった… 一方、メルカ共和国の自治都市ジーザスタウンでは、グルジェフが光明寺ミツコを招き、晩餐会を開いていた。 「いかがですか…?この街は。まるでエデンの園のようでしょう?」 護衛ロボット・ミカエルにワインを注がれ、自分に酔った瞳でミツコに話しかけるグルジェフ。 「え、ええ…まあ…」 「全てにおいて世界一といわれるメルカ共和国の中でも、このジーザスタウンはとりわけ素晴らしい。 犯罪も公害もなく、人々は平和に暮らしている。…あなたの父上がミカエルを作ってくれたおかげでね」 「いえ、父はデザインを提案しただけです。プログラミングなど具体的な部分は、この国の技術者達が作ったんでしょう?」 「ええ。ですがプロフェッサー・コウミョウジがいなければここまで精巧なものはできなかったはず」 「そうですか…ところで、ジーザスタウンで作られたロボットはもう一体いると聞いたのですが…?」 グルジェフの顔が曇った。 「…そんな奴はいない。何かの間違いでしょう」 「でも、確かにお父様が…」 「ミズ・コウミョウジ。グルジェフはお疲れのご様子です。今日はここまでにしましょう」 「は、はい…失礼します」 ドアを閉め、元老院から市内のホテルへ向かうミツコ。 その様子を見送ったグルジェフの目に、明らかな殺意が芽生えていた。 「…何故だ!!!何故あの女があいつのことを!!」 「取り越し苦労ですよ、グルジェフ。あの女は何も知らないはずです」 「…だが、念には念を入れたい。あの女の監視を怠るな」 「はっ」 ホテルの一室で休むミツコ。ふと、窓の外を見つめる。 『この街はたしかに平和だ。だけど…何かがほかの世界と違う。なんて言えばいいのかしら…生気がない』 と、そこへ間の抜けた声が響いた。 「いやー、ミツコ殿。失礼しますぞ」 「? どうぞ?」 声の主はハンペンこと服部半平。どこから持ってきたのか、浴衣姿でご満悦だ。 「あ、これはこれは失礼。もうお休みでしたか」 「気にしないでハンペンさん。それにしても…そのカッコどうしたんですの?」 「いやー、たった今ホテル・ジーザスの大浴場に入ってきたんですが、いやこれが得もいえぬ快楽でしてな。 極楽浄土とはまさにこの事。ミツコさんも入ればよかったのに」 「そうなんですか?それより…」 「…どうしましたミツコ殿?」 「この国は確かに平和で華やかです…だけど…なんていうか…すごく変なんです」 「変…と申しますと?」 「上手くいえないけど…生気がないみたいなんです。まるで機械のような」 「ハハハハ、考えすぎでしょう。いくらなんでも生気がないなんて… それがジーザスタウンの人たちの生き方。言うなれば『ジーザス気質』とでも言いましょうかね」 「だけど…」 と、突然窓が割れ、中に黒い影が入り込んできた。 影の主はグレイサイキングとグリーンマンティス…ダークの破壊ロボットだ。 ミツコ「!?」 ハンペン「やややや…お前たちは!!」 グレイサイキング「久しぶりだな…光明寺ミツコに服部半平!!」 グリーンマンティス「グルジェフ様の命令でお前たちを始末しに来た!」 ミツコ「なんですって!!」 ハンペン「うぬぅ…なぜグルジェフ殿がミツコ殿を…」 グリーンマンティス「お前がそれを知る必要はない…死ねっ!!!」 ミツコ「キャアアアアッ!!!」 ハンペン「あぶなあああああい!!」 鎌を振り下ろすグリーンマンティス…だが、次の瞬間彼の鎌は宙を舞っていた。 グリーンマンティス「ぐおっ!!」 グレイサイキング「だ、誰だ!!」 ミツコたちの前に立ちはだかる人影…銀の顔に黒い体… その姿に、誰もが驚嘆した。 「拙者の名はワルダー…お前たちを成敗いたす!!」 ハンペン「ワ、ワルダーですと?」 ミツコ「ワルダー…?」 グレイサイキング「おのれい!!なぜここに!!」 ワルダー「風の向くまま気の向くまま…足に任せて歩いていたら、悪の気配がしたのでな…」 グリーンマンティス「ふざけたことを!!」 ワルダー「御免!!!」 鮮やかな刀さばき…グリーンマンティスの体がなますのように切り刻まれる。 グリーンマンティス「ぐおっ!」 グレイサイキング「な、何っ!?」 ワルダー「次はお主だ!!」 一振り、二振りと刀で斬りつけるうちに、追い詰められていくグレイサイキング。 ワルダー「とどめぇい!!」 必殺の袈裟懸けがグレイサイキングの体を引き裂く… 真っ二つに裂け、機械の部分を剥き出しにして果てるグレイサイキング。 ワルダー「さあ…ここは危険でござる。早く町の外へ」 ミツコ「あ、ありがとう…でも、いったい何故ここが?」 ハンペン「そうですぞ!!それに、君は一体何者なんだね!!」 ワルダー「ついて来れば分かるでござる…」 ワルダーに誘われるままに、ジーザスタウンの裏路地を歩く二人。その先には… 「やっ、ども~☆」 派手な服装の男…高円寺博士がいた。 ジュウレンジャー達が爆弾の摘出手術を行っていた頃、バルカンベースではキカイダー達が戻ってきた。 彼らは丁度、帝王ゲンバーと戦っていた頃、バダムによって怪物化されたが、マザーの力によって元に戻った。 「そんな事があったのですか…」 「でも、また味方が増えたとはいえ、焼け石に水だったよ」 三人が嵐山長官からゲンバーやバラノイアがバルカンベースを襲撃したことを聞かされ驚きを隠せなかった。 「長官、高円寺という人物から通信が入っています」 と、その時オペレーターから通信が入った事を伝えられる。 「高円寺…今すぐつないでくれ!」 「かしこまりました!」 嵐山長官の指示で即座に回線を開いた。 何と、そこには派手な服装のかなり年のいった男が映っていた。 「は~い、嵐山長官、こんばんは~!」 と、男が軽い口調で嵐山長官に話しかける。 「高円寺博士、スターピースが見つかったのですか?」 嵐山長官がその男、高円寺博士に話しかける。 「メルカ共和国にスターピースがあるって聞いてね、来たんだけど、そこであるロボットに出会ってね」 高円寺博士がすばやく答える。 「ロボット…?」 一同が疑問に思う。 「ささ、みなさん入ってきて」 と、高円寺博士が手招きするとロボットと二人の若者がやってきた。 「ワルダー!」 「ミツコさん、それにハンペン!」 イチロー達が入ってきた三人を見て喜ぶ。 「イチロー殿、マリ殿、久しぶりでござる」 入ってきたワルダー達も喜んだような表情だった。 「ワルダー、あなたも大いなる意思の力で蘇ったの?」 と、マリが聞く。 「偶然、高円寺殿がメルカで拙者の残骸を見つけて修理してくれたのでござる」 と、ワルダーが答える。 「ジロー、お父様は元気なの?」 ミツコがジローに聞いてくる。 「博士なら僕と同じバルカンベースにいるけどメカの修理で急がしいけど、元気だよ」 ジローの言うとおり光明寺博士は洗脳されたジュウレンジャー達が操縦した鉄面党ロボットを修理していた。 「いや、ジロー君も元気で何よりだ!」 ハンペンが安堵の表情を浮かべる。 「ところで博士、スターピースは見つかりましたか?」 「スターピースならここにあるよ!」 博士はポケットからスターピースを出してきた。 「手に入れるまで色々大変だったけどワルダーがいたから助かったよ」 博士はスターピースをしまいながら話している。 「では、我々からイチロー君達を明日メルカに送ります、待っていてください」 嵐山長官が博士と合流する事を即座に提案した。 「じゃ、楽しみにしているよ~じゃぁねぇ~」 と、通信は切れた。 「長官、僕達にメルカに行って欲しいのですね」 ジローが嵐山長官に問いかける。 「ああ、どうやらメルカでは君達の戦ったダークロボットが高値で流れているという情報があるので君達に調べて欲しいのでな」 嵐山長官の言うとおり、メルカ共和国ではダークロボットの設計図が何者かによって多数発見され、再生産されていた。 「きっと俺達が来てくれればワルダーも喜んでくれます」 イチローが嬉しい表情になる。 「よし、スターピースと高円寺博士の護衛も忘れるなよ」 嵐山長官が博士の護衛を促す。 「長官、防衛軍の統合会議に向かったナンゴウ長官が行方不明という連絡が入りました!」 その時、あまりにも悪い知らせが入ってきたとは誰一人とも考えていなかった。 「何、長官が誰かに襲われたのか!?」 嵐山長官が通信兵に聞く。 「はい、ナンゴウ長官の乗ったウルトラHSTが何者かの攻撃で破壊されたそうです」 「ナンゴウ長官…我々はどうすればいいんだ…」 嵐山長官は余りにも多すぎる問題に対処できるかという不満で心がいっぱいだった。
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効果 この武将が合戦場に配置されている場合 すべての武将は、行動順番が逆転する 所持武将 足利 義昭LV2 備考 軍師などで行動力を上げる戦法を取る相手に対して、行動順で先手を取るには有効。 ただし、行動力の低い武将は伝令もほとんど使えない点に注意である。
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「ちょっと、どうして私以外のヤツとエッチしたりするのよ!!」 ようやく我に返ったかがみは、今しがた目の前で行われた行為を思い出し激怒してセトの精液まみれの6/氏につかみかかった。 ちなみにこいつら、第六回放送が掛かったときはちょうど真っ最中だったので、義経とひよこっこが死んだこともまだ知らない。 「ちょ、落ち着けって、別に俺だって好きであんなヤツとやったわけじゃ……」 「なによ、あんなに気持ちよさそうな顔してたくせに!!」 「そ……それは……」 6/氏は返す言葉に詰まる。 実際、かがみに犯されている時には一生トラウマになりそうな痛みと恐怖しか感じられなかったが、 さっきのセトとの行為ではそれ以外の何かが胸の奥底に芽生えたのも事実だ。 「どっ、どうせアンタ、実は男のほうが好きとかなんでしょ!! だから、女の私なんて相手にもしなくて……どうせバカにして……」 激昂するかがみの目からは大粒の涙が零れ落ち始めていた。 今まで同性にしか興味の無かった自分がやっと抱いた異性への淡い思い。それを『拒絶』されたショックは大きかった。 かがみは6/氏を突き飛ばして台所に走り、包丁を手にして戻ってきた。そして般若のような顔で6/氏に迫る。 「そんな危ないものしまってくれよ……どうして……」 スクイズ的な展開に震え上がる6/氏。だがかがみはその横を素通りすると、床の上に倒れ付しているセトの亡骸に刃を向けた。 「これがあれば、私だって……」 かがみはセトの性器を切り落とすと、それをみゆきの腕やバルサミコ酢の瓶をつけたのと同じ要領で自分の胴体にくっつけた。 「うふふ……さあ、6/……私とも、もっといいこと、しよ?」 股間のそれを怪しく光らせながら少女らしく笑う。 「んな、これ以上そんなことされてたまるかよ!! バカ言ってないでそんなもんさっさと外して捨てろ!!」 「どうしてよ!! 本当はこんなことはこなたやつかさや日下部とやりたいんだけど、仕方ないからアンタで我慢してあげるって言ってんのよ!!」 「そんなイヤイヤしてくれなくていいよ!! ポッキーで犯されて神に犯されてその上更に犯されてたまるか!!」 実際6/氏の下半身はもう血だらけだった。 どっから見ても異常な状況の中、相変わらずツンデレな会話を続ける二人だったが…… 「やっと見つけたぜツンデレコンビども!! ……って、何やってんだお前ら?」 突然玄関から礼儀正しく入ってきたのは二人の知らない男だった。 返り血を浴びた男は二人が行っている行為を目にして言葉を失う。 『ふむ、雑種の分際でなんたる下衆な振る舞い。よければこの我がまとめて葬ってくれようか?』 彼にしか聞こえない声で、彼にしか見えないサーヴァントが呟く。が――― 「俺も混ぜろ!!」 ≫やおいはそう叫ぶとおもむろに服を脱ぎ始めた。 「イ・ヤ・よ!! 6/は私のものなんだから!! 勝手に触らないで!!」 「いつからお前のものになったんだよ!!」 「メスは引っ込んでろよ!!」 縛られた6/氏を挟んで火花を散らすかがみと>>やおい。 「大体、さっきはセトの神様パワーでなんとかなったけど、今俺はスモールライトで縮んでんだよ!! お前らのソレなんか入るわけ無いだろ!!」 「でもそんなの関係ねえ!!」 ≫やおいがそう叫んだ途端、6/氏はもとの大きさに戻っていた。もちろん全裸のままで。 「あら、やっと元に戻ったのね!! これで思う存分普通のエッチが出来るじゃない!!」 「いや、それは俺が先だ!! お前にもあとで回してやるから先に俺によこせ!!」 「お前ら俺は物ですか?」 『フン、見るのも汚らわしい愚劣どもだが……まあいい。我のマスターが優勝しさえすればそれでいいのだからな』 ≫やおいのサーヴァントであるギルガメッシュは高みの見物を決め込んだ。しかしその一方で彼はある『気配』を感じていた。 『この霊圧……他のサーヴァントか』 そして、かがみと>>やおいが股間のそれを勃起させながら6/氏を奪い合っていた時…… 「ヤメナサーイ!! いかなるアラソイもこのワタシが許サナイデース!!」 今度は白石と同じく、窓からその男は乱入してきた。 彫りの深い顔に、特徴的な髪型と髭。誰もが世界史の教科書、いやそれ以前に図鑑や伝記で見たことのある顔。 ―――リンカーンだ。その場にいた全員が思った。 英霊として復活したアメリカ史上屈指の名大統領は、歴史勢からの参戦にも関わらずしまっちゃうおじさんから逃げ延びていたのだ。 彼の目的はこの理不尽な戦いを終わらせ、平和をもたらすこと。 加えて、日本全土に『自由と平等』のアメリカ主義を広めることにあった。 「ヒトリのオトコのドクセンケンをめぐってアラソうなんてなんというオロカな!! どうしてナカヨクわけあうコトがデキナイのデスカ!! 門戸開放!! 機会均等!! このオトコのカラダはミンナでビョウドウにわけあわれるベキです!! コレがアメリカンドリームです!!」 リンカーンはあのゲティスバーグの演説ばりの名調子で二人に争いの愚かさを伝える。 「なによ、大統領だか知らないけど急に出てきて仕切らないで!! こいつの体は私のなんだから!!」 「いや……待ってくれかがみ。俺は間違っていた。リンカーンさんの言うとおりだ。おいしい食べ物はみんなで分け合うべきだ」 リンカーンの演説に感銘を受け、目をキラキラさせている>>やおいが言った。 「それに、もし俺を混ぜてくれたら、この殺し合いが終わった暁には俺が現実世界でコレクションしているこなたのエロ同人誌を譲ろう」 「え……?」 それを聞いて、かがみの心が大きく揺れた。逡巡すること数分。 「わかったわ。ただし、私がいいと言うまで出しちゃだめよ。あくまで主導権は私が握るんだから!!」 「ああ、もちろんそれでいいとも!!」 「ミナサン、ワタシのいうことをリカイしてくれてウレシイでーす!!」 「ちょっとまてええええええ!! 俺の価値はエロ同人コレクションと一緒か、そしてお前ら俺の気持ちは無視かああああああ!!」 こうして6/氏はこなたの18禁本と引き換えに売り飛ばされてみんなでマワされることになった。 「モチロンワタシもサンカしまーす!!」 リンカーンはそういうと服を脱ぎ始めた。 四つんばいの姿勢を取らされた6/氏の口に、かがみが性器を咥えさせる。 「む……ぐ……ぴちゃ……ちゅる……れろ……」 「あっ、これ今勃起してるの? んっ……ごめ、よくわかんないけど何か出そう……」 「ちゅぱ……んん……じゅる(ちょ、なんか苦いのが出てきた!! もうイヤ、こんなんやってたら頭がおかしくなるって……誰か助けて……)」 「あ、あ、6/、多分これ、出る……」 「(ビクッ!!) あ……うう……(かがみのち○ち○何故か美味しいよう……俺変態じゃん……)」 「ふう……。>>やおい、もう入れていいわよ?」 「よし来た!!」 ≫やおいは6/氏の突き出された尻を掴むと、おもむろに動物本能的な行為を開始した。 「ひっぅ!! ぐ……ちゅぱ……」 本当は悲鳴を上げたいのだが、口はかがみに塞がれているためにそれも出来ない。 ただ床に敷かれた絨毯に爪を立てて、この痛みと屈辱が一分でも早く終わってくれることを願った。 「ちょ、すげえぜこいつ!! ものすごい締まり具合じゃないか!! あ、やべ、早速出そう……」 「まだ我慢して!! 今は私が出す番なんだから!! 6/も、もっと裏まで丁寧に舐めなさいよ!!」 「もう我慢できねえから、一旦外に出すぜ」 ≫やおいは一度結合を解くと、6/氏の尻の上に白い液体を拭きかけた。 「じゃあワタシもダシマース!!」 リンカーンも6/氏の顔の上にぶっかける。 (ぬるぬるする……臭い……なんで俺がこんな目に……うぐう!!) 気が付けば、金色のサーヴァントがどさくさに紛れて行為に参加していた。 「このような児戯に付き合うのも億劫だが……目の前で宝物の奪い合いが行われているのに座して見るというのも王の誇りに関わる」 「ちょっと何よアンタ、私の許可無く6/を犯さないで!!」 (だからいつからお前のになった……でも、うーん、かがみのせーえき……) 「ギル、お前俺というものがありながら!!」 「アラソイはユルサナイデース!!」 ちなみにこいつらの精力はセトと比べても底なしだったので、6/氏は開放されることは無かった。 こうして一日目の夜も更けていった。 【一日目・午後十時/埼玉県】 【◆6/WWxs9O1s氏@現実】 [状態]:全裸 、病んでる、縛られて輪姦中、精液塗れ [装備]:贄殿遮那@灼眼のシャナ [道具]:業務用ポッキー(ダンボール一箱分) [思考] 1:うぐ……ひっく…… 2:かがみ、ひよこっこと行動を共にし、傷つける人間は殺す 3:誤解フラグを解く 4:放送を信じない味方を集め、主催を倒す 5:最終手段でかがみを主催に差し出す 6:その願いでみなみを生き返らせてもらうのもいいかも 7:ま と も な ふ く が ほ し い ※大臣の取引には乗ったふりをしていますが、実際に手を貸すつもりはありません。 ※第六回放送を聴いていません(かがみにレイプされていたため) 【柊かがみ@らき☆すた】 [状態]:泉こなたの胴体、高良みゆきの左腕、右手にはバルサミコ酢の空瓶 セトの性器、体中からかなりの悪臭、頭部に傷多数、半裸 [装備]:包丁 [道具]:なし [思考] 1:とりあえず6/氏を犯す 2:◆6/WWxs9O1s氏を正気に戻す 3:出来れば6/を独占したい 4:◆6/WWxs9O1s氏、ひよこっこと行動を共にする 5:放送を信じない味方を集め、主催を倒す 6:自分の胴体と友人、家族を探したい ※第一回放送を聞いていません ※第四回放送も聞いてません(自慰行為のため) ※第六回放送も聞いてません(6/氏をレイプ中だったため) 【 やおい@現実】 [状態]:ゆたかの返り血がついています 、全裸 [武装]:チェーンソー(ゆたかからルート)、ギルガメッシュ [所持品]:支給品一式、しんのすけの上半身右側 (ゆたかからルート) [思考]: 基本:名前に忠実にやおい的な行動をとる。 1:とりあえず6/氏を犯す 2:メスとのプレイなんて嫌だ 3:男を犯しつくすまで殺し合いを止めさせない 4:せっかくだからツンデレコンビと一緒に行動しようかな ※【特殊能力・でも、そんなの関係ねぇ!】 あらゆる事象を関係無くす事ができる 【リンカーン@歴史】 [状態]:全裸 [装備]:不明 [道具]:支給品一式 [思考] 1:とりあえず6/氏を犯す 2:6/氏の体をすべての人間に開放する 3:ツンデレコンビを守るために一緒に行動する 4:殺し合いをやめさせ、世界に自由と平和を呼び戻す
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1555年 革新前夜 伝来から10年余で各地に普及した鉄砲。 誰もがこの新兵器のもたらす新たな戦国絵図の可能性を予感せざるを得なくなり始めている。 しかし、後に将星として記憶されるであろう男たちは、無謀にもにもさらなる時代の潮流をさえ己自身で極めようとしていた……。 1555年、南蛮大到来の夜明け前、彼等の鋭い眼差しが捉える先の深い闇を、まだ誰も知らない.......。 有力大名 島津家:相良家と同盟 武田家:今川、北条家と同盟 大友家:大内、河野、阿蘇家と同盟 長尾家:足利家と同盟、最上家と停戦中 三好家: 南部家: 大内家:大友家と同盟 345 :名無し曰く、:2007/09/24(月) 04 42 26 ID sL7tZQMt というわけでどれだけスレに粘着してるんだ俺ということで ttp //deaikei.biz/up/up/7173.zip.html nobu12 内容及びおおまかな改造点 テストシナリオ「革新前夜」の修正版です。 大雑把な更新履歴 0.21→0.3 中華エディタbuild923にて作成 諸勢力の国力を修正しました。 これに伴い、国力回復速度は増えています。 シナリオの説明が古いままだったのを修正 一部大名が1年ほどの停戦期間を締結 すべての初期武将をSランクに変更 これにより、難易度があがることが予想されます。 また、追加武将はそれだけレベルがさがると思われます。 給料増加毎の忠誠増加を減らしました。 どれだけ寝返りが多くなるか実験です。 特産品の変更は今回は見送りました。 今、技術を用いてうまく鉄砲騎馬弓足軽で4竦みできないか考えています。 結構多くの方がDLしてくれてたみたいで正直励みになります。 (ま、競合相手が少ないうちが華よねー) ここまでのあらすじ 152 :名無し曰く、:2007/09/22(土) 22 22 24 ID 2+8dJU/e tp //deaikei.biz/up/up/7109.zip.html pass:nobu12 「史実」ぽさを狙ったシナリオ&param改造を施してみました。 (paramは前のせたのと同じ&武将ファイルもほぼ同じ) 『内政で領国運営をしっかり→軍備増強、技術開発→野戦→城包囲』 を狙ってます。 弱小大名がすぐCPU戦で滅亡することも減ったようです。 よければどうぞ。 153 :名無し曰く、:2007/09/22(土) 22 29 01 ID 2+8dJU/e 追記 武将ファイルは追加武将顔グラなし。 おすすめは『給料少なめ、城防御度高め、戦法弱め』 174 :名無し曰く、:2007/09/23(日) 00 16 11 ID FnfhD6hY 77-78 そのアイディアいただきます。 76 :名無し曰く、:2007/09/22(土) 18 28 52 ID kbt7AIfP さっそくだが苗刀どうする? 77 :名無し曰く、:2007/09/22(土) 18 32 06 ID wKz/Yn0x 76 攻撃+6、防御修正なし。 三番目の技術を防御修正+6の機動力+3 78 :名無し曰く、:2007/09/22(土) 18 33 16 ID KJPbkQv8 76 鋼子甲といれかえて、鋼子甲の能力を鉄砲半減にした。 242 :名無し曰く、:2007/09/23(日) 11 23 03 ID FMSZSzvX 153、239 両氏とも乙。 結構いいバランスだと思うよ。 212でうpしてくれたのと合わせれば終盤まで楽しめる。 212 :名無し曰く、:2007/09/23(日) 03 36 12 ID qNwPFD4c あ~、またみすってた。。。本当にすいません。 今度から寝ぼけながら作らないことにします;; [拠点における兵数の上限値を制限する] ttp //www.dotup.org/uploda/www.dotup.org2201.rar.html PASS 1234 民忠が上がらんせいであちこち扇動の嵐になってたのはワロタw んで153氏のシナリオデータでチョイと報告・提案。 鎖子甲、大弩弓の実行値が説明と食い違ってる。 鎖子甲は鉄砲戦法半減の方がいいのではないか。 足軽隊と弓隊の移動が少し速過ぎると思う。 243 :名無し曰く、:2007/09/23(日) 11 32 29 ID CJMqPysn 242 レポ感謝です。 実行値と鎖子甲みてみます。 実は最初、部隊の速度は足軽基本値を中心にして騎馬も遅くたのですがゲームとしてはつまらないかなぁと思って、 騎馬基本値にしたのでした。 戻してみます。 個人的に騎馬隊は馬を下りて戦うものだとおもってますw 271 :名無し曰く、:2007/09/23(日) 17 10 58 ID CJMqPysn 242 鎖子甲について調べてみましたが、やはり鉄砲を防ぐのは無理のようですw かといえ、足軽にも鉄砲耐性つけたいなぁ。 273 :名無し曰く、:2007/09/23(日) 17 29 02 ID ZUe/LJO4 271 『「綿甲』に名前を変えるとか。 銃火器に効果のある歩兵鎧で女真族の鎧だけど、朝鮮出兵のとき、明兵の一部が着ていた記録もある。 274 :名無し曰く、:2007/09/23(日) 18 45 35 ID 1cE0MEbs 271 鎖子甲ってチェインメイルみたいな防具だからね。 確かに鉄砲は無理かもw 単純に防御+かな? もしくは弓のシールドと交換して効果を鉄砲戦法半減にするとか。 んで鎖子甲の対象を弓隊にする。 276 :名無し曰く、:2007/09/23(日) 19 21 48 ID CJMqPysn 242 修正シナリオ(と抱き合わせparam+追加武将) ttp //deaikei.biz/up/up/7131.zip.html pass nobu12 をうpしました。 273 綿甲採用してみました。thx 280 :名無し曰く、:2007/09/23(日) 19 42 08 ID reVFzszR ( ´・ω・`)つttp //deaikei.biz/up/up/7132.zip.html pass nobu12 全シナリオ共通修正ファイル 部隊の進軍速度を調整しました。 諸勢力の拠点耐久を調整しました。 南蛮技術を一部変更しました。 扇動費用などを見直しました。 334 :名無し曰く、:2007/09/24(月) 02 23 25 ID ysaz6nX3 280 それぞれについてどう変更したのか書いてくだされ。 335 :名無し曰く、:2007/09/24(月) 02 26 00 ID sL7tZQMt 334 パラメータはエディタなりで直接みてちょ。 そうじゃなくて、変更の仕方ってこと? 337 :名無し曰く、:2007/09/24(月) 03 13 26 ID ysaz6nX3 335 内容が知りたかったんです。 339 :名無し曰く、:2007/09/24(月) 03 27 41 ID SLkh0QBW 279 バランス調整GJ! とりあえず伊達・長野・長宗我部でやってみたけど、調整だけでこうも変わるんだねー。 技術獲得の速さや兵数はちょうどいいと思う。 町並み上限UPのおかげで篭りながら研究も出来るようになったしね。 一番印象に残ったのは、小田原城が異様に硬かくて1度攻略に失敗したこと。 包囲出来るほど兵隊を募兵出来んかったからだけど、危うく逆に滅ぼされるとこだったw 攻めに失敗するとかなり痛い仕様になってる。 ちなみに、弱小がすぐ滅ぶのを防ぐため、不自然にならない程度に停戦期間を設けてみるのはどうだろう? 色々弄ってみたけど、主要大名の停戦期間を調整してやれば、ある程度史実どおりに軍を進めてくれました。 特に毛利は変な拡張進路を採ることが多いせいか、1,2回目は序盤で滅んでた。 340 :名無し曰く、:2007/09/24(月) 04 01 56 ID sL7tZQMt 339 thx 自分も何回かプレイしてみて、まぁまぁ楽しかったけど太田家がいつも...。 停戦期間かんがえてみます。 345 :名無し曰く、:2007/09/24(月) 04 42 26 ID sL7tZQMt というわけでどれだけスレに粘着してるんだ俺ということで ttp //deaikei.biz/up/up/7173.zip.html nobu12 テストシナリオ「革新前夜」の修正版です。 大雑把な更新履歴 0.21→0.3 中華エディタbuild923にて作成 諸勢力の国力を修正しました。 これに伴い、国力回復速度は増えています。 シナリオの説明が古いままだったのを修正 一部大名が1年ほどの停戦期間を締結 すべての初期武将をSランクに変更 これにより、難易度があがることが予想されます。 また、追加武将はそれだけレベルがさがると思われます。 給料増加毎の忠誠増加を減らしました。 どれだけ寝返りが多くなるか実験です。 特産品の変更は今回は見送りました。 今、技術を用いてうまく鉄砲騎馬弓足軽で4竦みできないか考えています。 結構多くの方がDLしてくれてたみたいで正直励みになります。 (ま、競合相手が少ないうちが華よねー) 380 :名無し曰く、:2007/09/24(月) 13 24 04 ID WFgnd46X 345氏いますか? やってみたけど寝返りしまくりな希ガスwwww 381 :名無し曰く、:2007/09/24(月) 13 33 14 ID sL7tZQMt 380 故あれば寝返りますw by readme paramで民忠上昇値を2に変えてみてください。 もしかすると扇動費用あげたツケかもしれないですね。 388 :名無し曰く、:2007/09/24(月) 14 24 15 ID vPRnWHZ1 345 大内家で一通りやってみたのでその報告 まず忠誠上昇値だが俸禄要求低だと実感としては分からんかった。 ちなみに俸禄要求普だと寝返りが横行して、港の無い金欠勢力(武田・織田等)は真っ先に潰れたw 港の有無の差が大きくかな 貿易の収入差がデカイ(特にCPU担当勢力)。 港のある国の町並上限数を1~2削ってみるとか 兵数が少ない設定では諸勢力、特に国人衆の影響が大きすぎると思う。 諸勢力は出陣兵数を元の値に戻して初期国力と耐久低め、国力回復値は1。 代わりに武将能力を20~30下げ戦法も無しにすればいいんじゃないだろうか 。 格付に関してはCOM思考パターンに如実に影響が出ている。 例を上げるなら、徳川が今川氏真に飲み込まれる事が多かったかな。 Sを付けるなら太田や長野などの名将だけに付けた方がいいと思う。 以上、長文失礼しました。 392 :名無し曰く、:2007/09/24(月) 15 24 10 ID sL7tZQMt 388 thx 前回のほうがバランスとしてはよかったみたいですね。 時間あるときに見直してみます。 ところで、木津水軍て近江水軍、淡路水軍、熊野水軍どれだろう。 個人的には既に淡路は塩飽水軍が抑えているのと三好と協定結んでるから淡路かなぁと こんな感じに書き換え中です。 ttp //up2.viploader.net/upphp/src/vlphp071861.jpg 393 :名無し曰く、:2007/09/24(月) 15 48 02 ID 77kRcKaf 諸勢力の面子とかちゃんと能力設定されてるのが欲しいな。 顔グラまでは難しいだろうけど。 395 :名無し曰く、:2007/09/24(月) 16 04 05 ID GbN2/ElK 394だけど、具体的には、血縁設定のためだけに作った新武将を死亡扱いにしたい。 (非登場だと血縁が無視されるのでシナリオ開始時だけは登場させておきたい) 396 :名無し曰く、:2007/09/24(月) 16 23 38 ID V7kfVr2b シナリオ開始一年前に死亡させればいいんじゃないの? 自分はそうしてるけど。 397 :名無し曰く、:2007/09/24(月) 16 28 35 ID GbN2/ElK なるほど! 398 :名無し曰く、:2007/09/24(月) 17 02 30 ID T1nRoPiP 395 つーか無印ではシナリオ開始時に非登場でなく、既に死亡させてても血縁は解除されなかったと思うが。
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Girl of Fate Blade Worker1 ――― 赤い影が疾風のように大地を駆け、双刃が煌く度に光の矢は次々と撃ち落とされていく。 対して上空からそれを猛追する金色の影。 落とされてなお倍する雷弾を赤い外袴の男に放ち続ける。 アーチャーと金髪の少女の戦いは既に始まっており、サーヴァントである男をして苦戦を強いられる少女の技が冴えを見せていた。 「ぬぐっ!?」 魔弾の的を散らすため、動き回ろうとする弓兵に何かが絡みつく。 少女の技量もさる事ながら、弓兵を真に苦しめていたのは所々に設置されていた罠。 その空間に踏み込んだ瞬間、手に足に絡み、肉体を拘束せんとするチェーン型の捕獲魔法であった。 (もう一人いるか……いや、この足音は人間のものではない) どうやらこちらが藪を抜け、平地に出てから仕掛けてきたのも相手の計算のうちだったようだ。 舌打ちする弓兵。 幾多のトラップが仕掛けたここにみすみす追い込まれてしまうとは…… 相手は、幼女と舐めてかかれる技量ではない。 信じられない事にあの歳でサーヴァントと刃を交えるに不足無い実力を持っている。 窮地に追い込まれたアーチャーが、何時もの様に己が運命を双剣に賭ける―――のだが…… (まったく……子供相手にとんだ醜態だな) ド級のフェミニスト気質、少女にドキドキ体質、どうやら共に死後にも持ち越されたようである。 彼がまず超えなければならない壁。 それは女のコを相手に本気で喧嘩をしなければならない――― その背徳感と尽きせぬ葛藤であった事は言うまでもない。 ―――――― ―――――― 管理局の技術でも超えられない、境界に隔てられた2つの世界。 異世界同士がロストロギアの力によって絡み合い、邂逅を果たしてより1ヶ月――― ミッドチルダにおける最強戦力「魔導士」と、第97管理外世界……否、ガイアといわれる星の意思によって現世に蘇った英霊。 死の盤上に上げられた開戦の狼煙より、既に激突する事三度。 いずれも死闘と呼ぶに相応しい闘争の極限を場に映し出す。 しかして此度のそれは間違いなく、異なる世界の者が出会ってより起こった最大規模の戦闘行為に他ならず 互いの叡智と、歴史と、誇りと、意地を以って相手を屈服させる、闘争を超えた戦争であった。 盤上にて踊る両世界の駒達。 もはや彼らの殺し合いは止め得ぬ所まで来てしまったのだろうか? 運命のサイコロが無情なまでに彼らを弄ぶ中で――― 最古の王と狂えし亡霊の終の序曲が奏でられる。 War1 ――― 「我の事を姑息に嗅ぎ回ったのであれば、我が宝物において居並ぶ対城宝具の数々―――当然、識り及んでいよう」 数百の弾幕が絶え間なく飛び荒ぶ戦場。 その中で英雄王ギルガメッシュが敵に問うた。 対城宝具―――それは一般に騎士王のエクスカリバー等、膨大な出力で対象を薙ぎ払う破格の神具に付けられる称号である。 城といっても近世に残る力の失った遺跡ではない。 古の防壁がまま生きた要塞クラスの代物を指しての物だ。 故にそれを一撃で薙ぎ払う神威の宝具は、今ならば山一つを灰塵に化して余りあるものばかり。 「だが偏に対城と言っても内訳は様々でな。 出力、性能で対人から対城までこなせる万能のものもあれば、ソレ以外の役割を果たさぬものも多々ある」 男の言葉と共にその手が再び宝庫、ゲートオブバビロンの鍵を開く。 途端、力場は拮抗している筈なのに―――― 「……………ああ」 時の庭園のオペレーター、使い魔リニスが震える声を漏らす。 その耳にサーヴァントの話など全く入っておらず 「敵の新たなる射出口展開!」と、告げようとした口が開いたまま固まっていた。 あれ? あれ? 何か、サイズが――― 瞬きを忘れてそれを見やるリニス――― 初めは他の孔と同じ大きさに見えたのだ。 だがそれは、機器より送られてくるデータによって、敵の遥か後方に現れたものだとすぐに分かる。 だから、つまりそれは間抜けな話……所謂、遠近感というやつだった。 眼前に居並ぶ宝具の射出口よりも、だいぶ離れた場所で雄大に口を広げるソレ――― ――――――――――直径10mに及ぶ巨大な孔 「て、敵の新たな武装の展開を確認! お、大きい……巡洋艦クラスっ!?」 今度こそリニスが絶叫交じりに現状を報告する。 血を吐くような叫びだった。 今までは一様のサイズだった敵の弾丸の中に、明らかな規格外! 人には到底、振るえるものじゃない巨大な刃が姿を現したのである! 対人宝具ではない、彼の言った文字通りの対城宝具とはコレか? 確かにこれならば城や要塞をそのままの意味で薙ぎ払う、問答無用の暴力の具現であろうが――― こんなモノを一体、神話上のどんな英雄が手に持ち、振るえたというのだ? 「元々、宝具とは決まった規格を持たぬもの。 ノーブルファンタズムと謳われる幻想の産物よ。 疑問に感じた事は無いか? 世に知られる名剣、神槍の類は伝承によっては巨人が振るう事もあれば神の手で薙がれる事もある。 世の摂理すら捻じ曲げるアーティファクトと呼ばれる神器とは即ち――― 齎された際、主の手に収まるべくして収まる形無き力の塊。 幻想が人の世に顕現する力そのものの総称なのだ」 ギルガメッシュが所持する宝物は今でこそ王の手に愛でられるため一様の規格で蔵に収められている。 だが元々、その大小に際限などはなかったのだ。 マテリアライズ――――幻想は使い手が最も望んだ大きさ、カタチへと姿を変えて世界に顕現する。 「故にアレもまた、人の手に渡る前のとある宝具の原型よ。 天空より遣わされた巨大な石刳れに過ぎなかったそれは、後に不死不滅といわれた聖者を貫く宝具へと姿を変える。 曰く、聖なる者を十字架に張り付け、血を浴びた事により確たる神格を得るに至った、その御名こそ―――」 ―――――――神槍ロンギヌス あの巨大な槍?こそは、救世主 セイヴァー と呼ばれた聖者を貫いた破格の宝具。 もっとも目の前のアレはライズされる前の姿ゆえ宝具としての格は低い。 きっと類稀なる聖遺物を、無骨な岩くれなどに使用するのをギルガメッシュ自身が嫌ったが故の措置だろう。 だがどの道、そんな事はどうでも良い! 問答無用の巨大質量は、それだけで見るものに恐慌を超える諦観すら感じさせる。 魔法の弾丸などではどうしようもない圧倒的な破壊の権化―――その事実が今の彼女らに齎された全てだった。 「かつて世界は瞬く間に我の足元に平伏した。 故にな、生涯の大半は挑まれ迎え撃つ戦だったのだ。 よって我から攻め入る戦の何と久しき事………胸が高鳴るぞ」 王の無慈悲な神託の元に――― 天空が揺れ動き、空が堕ちてくるが如き威容を場に現すソレ。 「さあ、覇者の城攻めをとくと見よッ!!!」 即ち、大型航空機ほどもある巨大な槍が! 庭園に向けて射出されたのだった! ―――――― Girl of Fate Blade Worker2 ――― (いけそうかい、フェイト……? そろそろ私も仕掛けようか?) 幼き雷光と弓兵の戦いが続く。 その最中で少女は使い魔からの念話を受信した。 (機先は制したよ……アルフの張ってくれたチェーンバインドのおかげ。 もう少し空から削るから、暫く様子を見てて) (でも大丈夫かねぇ……サーヴァントってのは大層、強いらしいじゃないか? リニスは説得出来なきゃ帰って来いって言ったけど) フェイトの顔に微かな苦渋が浮かぶ。 師匠であるリニスの言いつけを破ってしまっている後ろめたさからだ。 しかし説得出来ればどんなに良かったか知れないが、こちらは男の背中を一度、撃ってしまっている。 普通に考えて説得の言葉など聞いてくれるわけがない。 自分ならばそんな相手の言葉など絶対に信じない。 だから彼には悪いが連れて帰るにはこの方法しかない。 未だ言葉の重みも温かみも知らない幼い魂―――硬く閉ざした相手の心を開く言葉など持っている筈がなかった。 (良い地形に誘い出して罠も張ったし、しかも向こうは疲れてる。 6分以上のアドバンテージは取った……あとは連携と戦術次第。 頑張ろう、アルフ!) (う、うん……フェイトがそう言うなら) 神話の英霊などという謎めいた相手に刃を向ける―――それに危険を感じない筈が無い。 だが、データによるとあのアーチャーは金色のサーヴァントには相性が良いらしいが 他のサーヴァントと比べて、そこまで強力な個体では無いという話だ。 時は一刻を争い、彼を連れて行かなければ帰るべき自分の家が……母親の身が危ない。 ならば英断。 稀薄な感情の内に並々ならぬ決意が灯った。 確固たる意思を以って少女は、弓兵のサーヴァントに闘いを挑んだのだ。 その瞳に優しかった母の面影を写して――― 未だ手に入らぬ愛を求めて彷徨う、健気で儚い翼がそこにあった。 ―――――― War2 ――― 射出された巨大宝具がプレシアの雷の矢を余さず弾き飛ばし、王自身の放った宝具すらも蹴散らして進む! 威容極まりない質量が大気を押しのけ、その気圧だけで要塞をゴリゴリと地面に押し付ける。 五分の位置で展開されていた弾幕の嵐も確実に庭園側に偏っていく。 属性付加されたファランクスの矢はあくまで規格内の宝具に対しアドバンテージを握る為の備え。 テスタロッサの魔法の弱点は防御と出力にある。 当然、あんなものを想定して組み立ててはいない。 バリアで防ぐなど論外。 あんなものを受け止められる防壁がこの世に存在する筈が無い。 あれが庭園に突き刺されば問答無用でお終いだ。 綺麗にカッティングされて3、4つに割れるか、巨大な田楽刺しの出来上がりだろう。 あの手の巨大質量を叩き返すには、高位の砲撃魔導士のフルドライブショットか、もしくは――― 「…………」 無言のリニス。 その表情に浮かんだのは死の恐怖か悔恨か――― ――――――――いや………… (予想の範疇………だけど) そう、糞の役にも立たない男の薀蓄はさておき、持ち得る武装についてはこれくらいの想定はしていた。 何せ並々ならぬ相手に戦いを仕掛けようというのだ。 この程度の事は予想していなければ始まらない。 人類史に登場した全ての兵器を所持していると言って憚らない敵サーヴァント。 古代の宇宙船まで引っ張り出してくる反則。 彼女が調べ得ただけでも、現代までの人類の戦争の歴史において、バリスタ、怒、投石機など巨大質量に任せた兵器は数多く登場する。 ならば攻城兵器、対要塞武装を奴が所持していても何らおかしくはない。 当然、それに相対するものも、こちらは用意してきたわけだが―――― 「……」 それでもリニスは無言だった。 モニター上の主人の顔を仰ぐ……躊躇いと戸惑いの意思を称えて。 迫り来る破滅を前にして、狼狽にも似た心境に苛まれる使い魔は、唇を固く引き結んで何かを憂いて動かない。 (いいんですか……? 本当に……?) それは謂わば、ミッド世界に住まう者全てが持つ倫理の根底に根付いているものなのかも知れない――― ロストロギアの所持など問題にならぬ最大最悪の大禁忌がある。 かつてのプレシアも魔導士としての矜持か、その必要がないと判断したのか定かではないが 管理局と事を構える位置にいてなお、その一線を踏み越える事はなかった。 ――― だが今、主であるプレシアから庭園中枢に魔力が送られてくる ――― 今までこちらが魔力を送っていた、その供給を逆流させてきた事の意味。 もはや確認するまでもない……彼女には何の躊躇いも無い。 これを撃てば、プレシアテスタロッサの名は決して拭えぬ罪と共に後世に悪名を遺してしまうというのに――― ヒトの生んだ悪魔の鉄槌――――――即ち、 ――― 質量、兵器 ――― ―――――― 覚悟を………決めるしか無いのか? 例え後に地獄の裁きを受けようと、今これを使わねば死ぬだけだとしても。 主と共に煉獄へ堕ちようなどと考える使い魔ではない。 あくまで主人の幸せのみを願う彼女は必要ならば主人を諌め、窘める事も厭わない。 だが事ここに及んで、今は生き残るために悪魔に魂を引き渡さねばならいのだろうか? 「………バレルオープン。 時の庭園、中央射出口より………主砲、開きますっ!」 躊躇は実際には一瞬。 リニスは結局、外法に身を染める事を選ぶ。 兎にも角にも、今は主人を害する脅威を取り払うのが先決だからだ。 「見せてあげますよ……古代の英霊。 進化の極みに達したヒトの恐ろしさを」 リニスの指が高速でコンソロールを滑る。 すると共に歪な機動音を響かせて、庭園中央から巨大な円筒状の造物が突き立つ。 この浮遊建造物がもはや住居ではなく、戦闘要塞として生まれ変わった確たる証―――「主砲」 長大な割り箸を二つ連ねて重ねたような奇妙な造形の、ソレこそ人類の叡智の究極! 近代兵器において最強の一角に数えられる、その名も――― 「大口径・超電磁・高速弾頭射出砲ッ!!!!! ショートレンジ・モード! 撃ち貫きますっ!」 超電磁砲――――即ち――――レールガン。 速度において光速への到達すら可能と言われる近代兵器の粋。 もっとも弾頭、砲塔共に光速に伴う膨大なエネルギーに耐え得る方法が未だ確立されていないため 光の速度とは机上の空論なのだが、それでもこれが最速の兵器である事に変わりは無い。 娘が最速の翼を、親が最速の兵器をそれぞれ選ぶとは何という皮肉か。 ともあれ、プレシアの魔力量、電撃という資質を考慮するに、この大魔導士にこれほど相応しい兵器は他に無い。 既にPT事件で名を知られ、局の艦隊と事を構える事も辞さない彼女の―――狂気を称えた新たなる牙であった! 「レディッッ! …………ファイアーーーーーーーーーッ!!!!」 最終安全装置を解除! 目と鼻の先に迫った神人の槍を前に、リニスはついにその引き金を引く! イイイイイイイイイイ、―――――キュイイッ、!!という、大気を擦り、削り取るかの如き共鳴音! 「くっ!!!」 大気を残らず持っていってしまうような衝撃! 庭園が揺らぐ! 伏して耐えるリニス! そして射出されるはアーチャーの矢すら上回る、初速15㎞/秒を超え、更に加速する破砕弾っ! 迫り来る無骨な槍の中央に、あまりの驚速に時をも置き去りにした弾丸が、パキン―――!!!、と……甲高い音と共に突き刺さった! 深々とめり込んだ破砕弾――― その打ち込まれた箇所を中心に――― 槍は空中で時を止めたかのように制止し――― まるでガラス細工のように中央から亀裂を生じさせ、敢え無く三つに砕けてヘシ折れたのだ! ―――――― 「主砲命中ッ! 対象、爆砕しました! 出力は80%をキープッ!!」 使い魔が昂ぶった心を抑えて叫ぶ! 英雄王の目前でズズン、ズズ―――ン、……と――― 地面に突き刺さって果てる神の遺物、ロンギヌスの槍の前身。 砕けて堕ちた、いずれは聖遺物として世に広まる神槍の残骸は、まるでストーンヘンジのように無骨でもの悲しく 古代の秘法を近代兵器が撃ち砕いた瞬間を場に映し出す役割を果たすのみとなった。 「…………………」 尊き幻想、その歴史をこよなく愛する英雄王。 その双眸に何を称えるか――― 口に紡がれる言葉が、なかなか発せられる事は無かった。 「――――――見事だ」 だが―――――――――やがて、愉悦。 「見事だぞ雑種。 こうでなくては我自らが出向いた価値が無い」 宝具の残骸を背に佇む王の言葉に虚勢は無かった。 本心からの言葉を紡いだ。 人の叡智の行き着く先もまた男にとっては己が宝で有り得るのか。 愛でるべき自身の世界の一部に過ぎないが故の、この問答。 初めは下らぬ茶番に堕ちると思われた舞踏――― 敵は曲がりなりにも王に拮抗するだけの戦力を揃えてこの場に立ったのだ。 それでこそ敵。 それでこそ戦争が成り立つ。 強大であるが故に、およそ一人を除いて並ぶ者すらいなかったその身にようやく炎が灯った瞬間だ。 これほどの高揚はいつ以来か…… あの征服王との一戦以来、感じた事も無い「戦い」に対する気の昂ぶり。 自身が敵と認める者の奮闘は、王にとっては脅威ではなく、飽くなき愉悦の肴と同義である。 「負け惜しみを……このまま押し込みます!」 叫ぶリニス。 その余裕は相手にとってはこれ以上なく不気味で不快なものだった。 「振り絞れ――――――出し尽くせ雑種。 我の前にて、培った全てを見せてみよ」 満面の愉悦を称えて王が下知を下す。 男がパチンと再び指を鳴らすと、巨大な孔がまたも口を開ける! また打ち落としてやる!と身構えるリニス。 だが、その瞳に写ったのは――― 同じように顔を覗かせる巨大宝具……… その数――――――――――――――――8つッ! もはや大小問わぬ宝具の数々が空を埋め尽くしていた! 調和も雅も自重も無い! 敵を圧する事のみを目的に馳せ参じた刃の群れ! 「こ…………この……」 淑女である使い魔がワナワナと震え、山猫の本性そのままに牙を剥き出して唸る。 「この、成金………ッッ!」 そして男に思わずこんな罵声を浴びせてしまったとしても…… 誰も彼女の不躾を責められよう筈もなかった―――――― ―――――――――戦争は、続く……… ―――――― Girl of Fate Blade Worker3 ――― 少女によるサーヴァント捕獲作戦は佳境へ入りつつあった。 弓兵を追いすがる影は既に2つ。 爆撃機さながらの空爆を降らせる少女と、橙の毛並みを持つ獣が地上からアーチャーに迫る。 相手の消耗に合わせて少女が使い魔を投入し、一気に詰めにかかったのだ。 (いける…………) ほぼ初陣となる任務を、フェイトは完璧にこなしつつあった。 その冷徹にして冷静な手腕はとても歳相応の少女のものではない。 全ては母のために。 実戦経験こそ無いが、生まれてより厳しいトレーニングを欠かさず直向に努力してきた成果だ。 弓を番えられない弓兵など物の数ではない。 地雷式のチェーンバインドに俊敏な狼の爪と牙、そしてフォトンランサーのつるべ打ち。 防戦に苛まれるアーチャーの陥落はもはや時間の問題だった。 (追い込んで……そう……そこ) 使い魔との密接な連携で敵の動きをコントロールし 今、奮闘を続けるサーヴァントの四肢をライトニングバインドにて―――捕らえた! 磔の様に手足を四方向へ伸ばされ、肢体を拘束される弓兵。 終始、無言で振るい続けた双剣もまた沈黙を強要される。 「……………勝負ありましたね」 「フ、―――」 その笑みは諦観の現れか。 不敵な表情のまま、サーヴァントアーチャーは少女の下に降る。 (………よし) 胸を撫で下ろすフェイトテスタロッサ。 さて…………これから先はどうすれば良いのか? 情報が確かならば、この後―――――― 少女は英霊を眼下に置きつつ、自らの手の甲を見据えて「兆候」を待つ――― ―――――― Archer,s view ――― 大したものだ――――さして手を抜いた覚えも無いが…… 事実、私は防戦一方のままこうして囚われの身になっている。 信じられんな。 あの歳であの技量。 真っ当な戦闘力ならば熟練の魔術士を遥かに超える。 さりとて10にも満たない幼子に遅れを取ったとあってはマスターに何を言われるか分からん。 人間の少女に敗れたなどと聞けば、そんな石潰しの役立たずは 鍋の具にでもなってしまえ、くらいの事は平気で言うだろう。 我が不肖のマスターは…… (仕方が無い……気は進まんが、そろそろ―――私らしく行こうじゃないか) 幸い相手はあの獣も含めてほとんど実戦の経験が無いと見える。 力はあっても攻めに嫌らしさが無い。 真っ直ぐで、それ故にいくらでも捻じ込める。 そういえば、豊富な弾幕に飛行能力、そして拘束術……似たような相手と刃を交えた記憶があるな。 抱える武装が似通うと展開も似通うものか。 いずれにせよ我が積み重ねてきた百戦を超える棋譜。 その膨大な経験から紡ぎ出す読み筋を、少女は超えられなかったという事だ。 勝利を確信するには百年早かったな――― 無理も無いか…………相手はまだ子供だ。 「―――――けろ」 「………え?」 自身の手の甲を見つめていた少女が、私の言葉にきょとんとした表情を返す。 「たわけ! 避けろと言ったのだキャス……では無い、少女よ!」 ―――――― 幼い魔導士がハッと気づいた時―――既に敵の反撃が喉元に迫っていた! 左右から飛来するのは夫婦剣、干将と莫耶! 互いに引き合う性質を持つ中華の陰陽剣がフェイトに牙を剥く! (い、いつの間に……!!?) 息を呑むフェイトだったが、そこは彼女の動体視力の賜物。 「はあっ!!」 何かに気を取られていたとはいえ、警戒を怠ってもいなかった。 同時両方向から飛び荒ぶ短剣を大鎌で一閃、迫る刃を切って落とす! 男の掛け声があったとはいえ、その技は賞賛に値するものだろう。 だが―――――――! その間、コンセントレイトの乱れた瞬間を弓兵は逃がさない。 フェイトの電付加拘束術式を気合一閃、何と砕いて抜けたのだ! そしてその手に番えるは、戦場を共に駆けた――――弓! (まずい!) フェイトとアルフに戦慄が走る。 アーチャーの名を冠するならば、当然その真髄は弓術であろう。 故にそれだけはさせぬよう、戦いを進めてきた。 ここでむざむざ撃たれるわけにはいかない! 「させるかよぉ!」 更なる魔弾を降らせようと構えるフェイトよりも速く、間髪入れずに襲い掛かるアルフ! 男との距離は一足分。 至近から剥き出しの牙を翻し、怒号をあげて狼は弓兵に覆い被さる! 「!!」 フェイトが追い討ちの詠唱を止めて息を呑む! 弓兵の肩口に、今―――――アルフの鋭い牙が食い込んだのだ! ―――――― War3 ――― とても大きな、剣、槍、斧、槌――― 攻城兵器と呼ぶにはあまりにも原始的な、故に明快な攻撃方法。 巨大質量をぶち当てるという単純にして凄まじい破壊力。 宝具堕とし、とでも呼べば良いのか……あの威容は? ともあれ眼前に展開される、10機を越えるジャンボジェットが特攻してくるかのような光景。 それを仰ぎ見て戦慄を感じない人間はいないだろう。 「重装騎兵は左右に展開! フィールド最大出力っ! 1秒でもいいからアレを阻んで下さい!」 恐慌に押し潰される寸前でリニスは踏み止まり、機動兵士の全AIに指示を飛ばす! 「ショートレンジ! 射線オールグリーン! 第6射ッ……………ファイアーーーーーーッ!!」 大地を覆うほどの影を落として迫る刀剣の、6つ目を主砲が撃ち抜いた! ピキィ―――という亀裂音の後、砕かれ力を失って墜落する神代の宝具の起源達。 先の神槍を初め、砕いた刃はいずれも神話に名を遺した、もしくは残す事になる前の代物だったのだろう。 あの大きさで、その本来の性能を発揮されていたら間違いなくアウトだった。 担い手であるギルガメッシュの手にある宝具の数々は、バビロンの斉射でも相当の性能を発揮していたのだが あそこまで人の手に余るモノへと零れ落ちた以上、王の手に「担う」事すら出来ないという事か? もっとも、それでも何の慰めにもならないが。 戦線は如実に押し返され、戦力の底が見え始めてきたのは庭園の方だった。 (ファクトリーの生産も追いつかない……このままじゃ!) プレシアの所持していた9つのジュエルシードのうちの1つ。 その膨大な出力を以って稼動を続ける無限工場 ファクトリー 果てなく回り続ける生産ラインからは今もなお、新たなる機動兵が生産されているのだが、今その生産速度をゆうに消費が超えている。 そも機動兵一体一体の性能とて、決して急場造りのロースペックな物ではないのだ。 元々の設計図にスカリエッティの齎したガジェットドローンの技術を流用して造られた完全軍事用キリングマシン。 ともすれば初めに男を包囲した時点で、対象を圧殺できるだけの性能を発揮してもおかしくなかった。 それなのに、結果は見ての通り。 図工で作った紙の兵隊のように 虎の子の機動兵団はガラクタ同然に薙ぎ払われた。 その様は悪夢以外の何物でもない。 王に挑むためのカード―――質、破壊力、量。 その全てを揃えて戦いに望んだ筈だった。 負ける事など考えていなかった。 だのに……… プレシアとてファランクス対空弾幕を張り続けながら、主砲へ魔力供給をも同時に行っている。 その体が何時まで持つか……このままでは押し潰されるのは明白だった。 (リニス) その時、使い魔の脳に主人から念話が飛ぶ。 (そのまま劣勢を演じなさい) (演じるも何も、見たまんまの劣勢です! このままじゃ揃ってペチャンコにされますよっ!) (なら、このままの状態を維持し続けなさい。 出来ないとは言わせないわ) (5分も、持ちませんよ……庭園も……貴方も!) 切迫の事態だった。 勤めて事実だけを述べる使い魔の声には抑え切れない苦渋の念が混ざる。 虎の子の主砲であのサーヴァントを撃ち抜ければ良かったが、これは後々管理局の戦艦との戦いすら視野に入れた あくまで巨大兵器や圧倒的質量を対象にした切り札だ。 斧でハチを狩れる狩人はいない。 発射後の弾速は無双無類のレールガンだが、英霊連中を撃ち抜くには予備動作と小回り、そして照準に難があり過ぎるのだ。 「……………」 艦橋にて佇む影……プレシアテスタロッサ。 見据える先では、砲線が徐々に徐々に要塞側に押し返され、熱波が鼻先にまで届くに至っている。 肌をじりじりと焼く爆風を嫌うように、彼女は艦橋から姿を消した。 英雄王に背を向けて、まるで万事休すとでも言うかのように――― 「死に場所を決めたか―――――よかろう。 その岩刳れを貴様の墓標にしてくれる!」 王の財宝が一層の激しさを増して降り注ぐ! これ以上はあるまいという願いにも似た予想を嘲笑う、際限無き侵攻蹂躙部隊。 進退窮まった要塞の防壁に、ギルガメッシュがついに手をかけたのだ!! ―――――― ミッド式魔導士は通例、強大な力を制御するためにデバイスを従えている。 だがしかし、この闘いにおいて彼女はあれほどの力を駆使しておきながら―――己がデバイスを振るってはいなかった。 インテリジェント、ストレージ、アームド……どの種別のデバイスもその身に装着してはいなかった―――― ―――――― 時の庭園中枢―――玉座の間。 王の住まわぬ方舟で「玉座」などと何の洒落にもならないが、ともあれプレシアはそこにいた。 そして彼女の虚空を称えた瞳が見上げたその先に―――それは在った。 伽藍の天井に近い場所に、太陽の如き白光を称えた巨大なモノ。 ヴヴヴ―――、と低い稼動音とプラズマを伴って輝き続けるのは この要塞を司る9つのジュエルシードに護られし、庭園の中枢コアである。 アリシア……… 声無き声で彼女は最愛の名を呼び、頭上に燦々と輝く白光に手を伸ばす。 すると光球は答えるように彼女に光の触手を伸ばし返す。 数百本では利かない粒子状の触手がプレシアの周囲を、身体を繭のように覆っていく……! 海底で踊るイソギンチャクの戯れのような、それは幻想的な神々しさと、おぞましさを同居させる光景。 前言を撤回する。 彼女は――――――初めからデバイスを使用していたのだ。 中枢コア―――この庭園そのもの。 それこそが彼女のデバイス。 名を 『アリシア』 …… 闇に沈んだ彼女が永遠に仰ぎ続ける陽光――― 二度と傷つけさせない…… 誰にも、何にも犯させない…… 光り輝く繭がプレシアの身体に完全に同化した瞬間――― 紫電の魔力光が、くすんだ黒雷へと変化し、部屋中を駆け巡るっ! 爆雷! 閃光! その雷の猛り狂う様を一体、どのように比喩すれば良いのか!? ダムの氾濫のようにところ構わず漏れ出て暴れ狂う暴力的なまでの魔力の渦! やがて己が体内にて猛り続ける黒ずんだ紫電を、彼女は―――掲げた両の手に集束させる! 右手に集うは不滅の雷――― 左手に集うは無敵の雷――― 紡ぐ魔法はThunder Rage――― 究極の域にまで昇華したプレシアテスタロッサ唯一無二の剣。 黒炎の如き、漆をぶちまけた様な毒々しい黒が紫の魔力光を侵食して食い尽くす! それはあの高町なのはが、「ある状態」で体から立ち昇らせる焼け付くような赤熱の光に酷似していて――― 母さんが………護ってあげるから その細腕に最強の王をも葬り去る剣を称えて。 ……………母はもう一度、娘の名を呼んだ。 答えなど返ってくる筈が無いのに――――それでも呼んだ。 陽光は沈黙を守り、ただ彼女を照らすだけ。 荒れ狂う稲妻の大河の只中にて――― 狂気のみを称えていた彼女の麝香の瞳が―――優しく、穏やかに微笑んだ………気がした。 ―――――― Rinis,s view ――― 逃げた―――――――― あのプレシアですら、サーヴァント最強の個体には敵わなかった――― どうにもならなくて、殻の中に篭ってしまった―――― ―――――――――――――――いや…………………違う。 艦とリンクしているから分かる。 あの人が、ついに自身最大の剣の柄を握った事を…… ――――――あの科学者によって齎された最後の剣。 愉悦に満ちた狂人そのものの男が、悪魔の囁きみたいな言葉と共に齎した力を プレシアは全て受け入れてしまった。 目的のために。 目指す奇跡の成就のために。 サーヴァント戦においてミッド式魔法が極めて有効に働くのはデータでも分かっていた。 だからこの戦いにおけるラストカードは、やはりプレシア自身の魔法以外には有り得ない。 そして膨大な演算機によって出された、あのサーヴァントの思考・行動ルーチン。 それを頼りに最後の賭けに出る時が来た。 エアを解き放ったキングの行動パターンは、大別してそう多くはありません。 彼は王の財宝で倒しきれない場合、そのまま押し潰さずにかなりの可能性で「その行動」を取る。 きっと彼のプライド……一方的な蹂躙に慣れ過ぎた思考が、己の軍が相手と拮抗する事実を許さないのでしょうね。 あと、もう少しで―――――60~70%の確率で、英雄王は「エヌマエリシュ」を解禁する。 きっと……いや、絶対。 ここでその確率を引けないようならそれで終わり。 天運に見放されたと思って諦めるだけの事。 もはや拮抗を許さない戦況だけれど、それでも食らいついていく時の庭園。 A・S・G を付加したファランクスを抜け、1本、2本と要塞の外殻に突き刺さる宝具。 その内包する魔力が爆発を起こして庭園を揺さぶる。 削り取られる外壁。 もう一刻の猶予も無い……! サーヴァントは個体差はあっても総じて隙の無い、人間を超えた超闘士達。 でも彼らに一様に隙が出来る瞬間がある………それが宝具発動時! (カウンターチャンスはもうそこだけ……!) あの最強宝具を敢えて撃たせるなど正気の沙汰ではないけれど、成功すれば見返りは十二分。 最も無防備な所に最大戦力をぶつける……レールガンすら超えるアレを! 「ク、フハハハ――――我に二度、これを抜かせるとは贅沢者よな。 常ならば、冥土の土産には過ぎた賜り物だと弁えて然るべきなのだが」 !!!!! 「この我に全力を出させた事をまずは誇るが良い。 英雄王との戦争をこうして成り立たたせた貴様らの蓄積と労使。 そして健気にも蓄え続けた叡智を―――我は決して哂いはせん」 来たッ!!! ご丁寧に台詞付きっ! ギルガメッシュがゆっくりと紅い孔の中に手を突き入れ、そしてあの恐ろしい円柱状の剣を取り出した! 既に起動を開始している歪な刃の3重重ね! その刀身に纏わり付くように、紅き倶風が集約されていく! 「今こそ仰げ明星を! 醜悪な亡霊ではあったが最期は艶やかに送ってやろうッ!」 打ち放たれたら後が無い! 主砲は今もなお巨大宝具を撃ち抜いている最中! 速射性と破壊力であの宝具発動を潰せるのは、もうアレだけ―――ッ! 「エヌマァァァ――――――」 ―――――― 「プレシアッ! 今ですっ!!!!!!!!!!!」 搾り出したリニスの叫びがブリッジに木霊する―――― ――― ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ――― よりも早く――――この世の全てを無音へと帰す、落雷の轟音が第2セクターに響き渡った。 ―――――― 次元跳躍法―――― プレシアが艦のバックアップを経て行う魔法の中でも、最大最強最悪を誇る破壊術式の総称。 戦技とは異なる高度な理論構築と、卓越したセンスを要する人道的に反するとまで言われる反則行為。 序盤にアーチャーとギルガメッシュを撃ち抜いたのと同様―――いや、それ以上に巨大で禍々しい雷が英雄王の頭上に落とされた。 初めの一撃は、無限の剣製を警戒していた王が数多の防具を予め備えていた。 そして弓兵もまた、それを利用してギルガメッシュを盾にする形で逃げ延びた。 故に狙われた双方共に生き残れたが、今度は違う。 完全に意外の外。 宝具発動にカウンターで合わせたのだ。 タイミングもドンピシャ。 宝具の鎧一式と幾多の神盾を6枚を貫いた稲妻を生身にまともに喰らえば――― 「いかに我とてひとたまりも無い―――そんな所であろう?」 その戦術を、男は雄弁に、小賢しく弄した当の相手に語って聞かせたのだった。 ―――――― カチカチと、恐怖で歯の根を震わせるリニス。 怯える子猫そのものの瞳だった。 その彼女の眼前に見据える―――口元を引き上げて哂う王。 まるで健在のギルガメッシュ。 頭上に張り巡らせた20近い守護、防壁宝具が役目を終えて、バラバラと地表に落下していく。 「うつけ。 よもや遊びと勘違いしているのではあるまいな? どこの世界にこれから切り札を放つと宣言して撃つ馬鹿がいるか」 冷め切った口調で男は言った。 胸躍る熱戦の、よりにもよって最後に打った敵の悪手を嘲るように。 「そんな……フェイントってアナタ……」 ―――パクパクと口を開くも二の句が繋げないリニスである。 正論だった。 その口を突いて出たのはこれ以上無いほどの正論だった。 でも、駄目だろう…? 何を言っているのだこいつは……そんなの卑怯だろう? 圧倒的過ぎる力を持つ者が、そんな普通の事をしちゃ駄目に決まってるだろう……? 「コレがそんなにも恐ろしかったか? 恐怖に呑まれ、詰めを違えるとは所詮、雑種…… いかに叡智を積み上げようと、恐れ苛まれる者に勝機など訪れぬ」 やはり我の敵ではなかったな、と溜息を付く男。 この王に対等に見られる事がこんなにもどうしようもない事態だったとは…… 誰が勝てるというのか? この油断も隙も無い最強に――― もはや命運尽きたとばかりに、力無く座して最期の光景を見据える使い魔。 対して再びエアを構える男。 もはやそんな必要も無いというのに…… こちらの張っていた弾幕は既に無く、バビロンの一斉射を次々と受けて剥がれる庭園の外壁。 思い出の住居が壊されていく……爆発は既に内壁をも削り取り、間もなくこのメインルームに届くだろう。 だのにハチの巣にしただけでは飽き足らず、この上、あの宝具を解放するなんて容赦が無さ過ぎる。 英雄王の掛け値無しの全力全開、全戦力解放状態。 天地波濤す終局の刻――― ウト ・ ナ ビ シ ュ テ ム 男は完全に、跡形もなく、魂すら一片も残さずにプレシアを殺滅する気なのだ。 「―――――――――終わり、だ」 勝利を確信するギルガメッシュ。 終の号令を宝具に下そうと口を開き――― そして――――――― 「…………なっ!!?」 リニスの口から漏れた驚愕の言葉が、その決着を如実に物語るのだった。 ―――――― 「―――――、ぉ」 省みよ―――省みよ……! この世で王気に勝る力こそ―――子を想う母の母性。 子を傷つけられた母は鬼子母神となりて目前の全ての敵を砕いて食らう。 それはギルガメッシュに二の句を上げさせる事すら無かった――― 即ち、無間の地獄より這い出て黄泉返った亡霊の一撃。 光の上を歩いてきたものにはそれは決して見えず、聞けず、感ぜず、故に防げない! 一撃目を完全に防いだと誰もが思った瞬間――― 王に……………敗北を告げる光の奔流は突然に訪れた! 黒紫電の稲妻は、再び男の「真横」から翻り――― 飛行船ヴィマーナ諸共、王を薙ぎ払ったのだ! 黄金の舟を巻き込み飲み込む、大河の氾濫の如き稲妻――― ――――――吼える落雷は………悲しき悪霊の慟哭のように。 ―――――― 前 目次 次
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Girl of Fate Blade Worker4 ――― 顎部の筋肉が引きつるほどに食い込んだ牙――― 敵に全体重を乗せたバイティング。 突き立てた犬歯の根元に鮮血が染み渡る。 右の肩口を狙って噛み付きを敢行したフェイトの使い魔アルフ。 人間であれば間違いなく戦闘不能に陥れるほどの傷を負わせた、そんな彼女が――― (コ、コイツ………捨て身で……!?) 今、その目に驚愕を称えて呟いた。 そう、鎖骨すら噛み砕く狼の咬合をアーチャーは敢えて受けたのだ。 傷口から勢い良く血が噴き出し、右の頭部から耳にまで鮮血に塗れ、それでも弓兵は変わらぬニヒルな笑みを浮かべていた。 「信じられない……私が喉笛を狙ってたらどうするつもりだったんだいっ!?」 「愚問。 繰り出す攻撃の悉くに必倒の気合はあれど―――必殺の意思は無かった。 ならばそんな腑抜けた攻撃の一つや二つ、体で受け止めても支障は無い」 ――― その勝利と引き換えに ――― 「あっ!? ぎゃんっっっっ!!!!」 飛び退こうと離れたアルフの口から悲鳴が響く。 陰陽の二刀が狼の脇腹を凪ぎ払ったのだ! 「アルフっ!!!!!」 大事なパートナーを傷つけられ、悲痛な声をあげるフェイト。 すぐに敵を撃たんと手を翳すが、使い魔の死角になって―――いや! あの男がアルフの喉笛を鷲掴みにして盾にしているが故に、少女は手に秘めた砲撃魔法を解放できない! 怒りか焦りか、もしくはその両方が脳内に渦巻き、幼い魔導士の戦術は霧散した。 自身が傷を負ったのであればここまで動揺する事は無かっただろう。 だが大事な仲間のそれに対しては彼女はあまりにも脆かった――― これが才能も素質もなく、それでも戦場で不敗を誇った男の戦いだ。 泥を啜りながら、常に自分よりも強く、多く、強大な相手に挑んで、単身……勝利してきた修羅。 自愛など微塵も無い、男が病的なまでに積み重ねてきた勝利を理解できる者はなく――― その孤高の剣の一端を垣間見せた男。 狼の死角に隠れた彼の手に、今――――黒曜の輝きを放つ弓矢が番えられた。 ―――――― War4 ――― 大空に二対の稲妻が咲き誇り――― 無残に撃ち抜かれた飛行船ヴィマーナが空中分解し、残骸となって墜落していく。 直角に突き立ったプラズマと、大地と並行に薙ぎ払われたプラズマ。 中央でクロスしたそれはまるで、宙空に十字架を描いたかのようだった。 限りなく黒に近い紫色の、それは背徳の十字架であろう。 そんな神々しさすら感じられる光景を呆然と見据えながら――― 「プ……プレシア……貴方は」 使い魔は掠れるような声で主人の名を呟いた。 カラカラに渇いた喉。 その声帯は震えている。 全身を覆う冷たい汗と震えは、決して九死に一生を経た事、自分らが勝利に至った事による歓喜の震えではない。 「聞いてない……聞いてないです……ここまで……!」 うわ言のように呟き、モニターに写された玉座の間に佇む主人を見る。 「自己ブースト」をかけた限界突破・魔力行使による次元跳躍砲。 リニスが聞き及んでいたのはそこまでだった。 ―――――― ―――――そう、その先は荒唐無稽な素人の与太話でしか無かった筈だ…… 魔導士の常識など全く弁えない科学者の夢想じみた戯言。 子供がメカを模した玩具に積載量と容量を超えた、非現実的な武装を付けて喜んでいる姿はよく見かける。 ―――そういう類の話だった。 思い出したくも無いが………… あの時、彼は何て………ほざき散らしていたんだっけ? キミの魔法からは何人たりとも逃れられない。 英霊の中には未来予知じみた回避力を持つ者もいるというが 空間、間合いすら無視して「四方八方」から降り注ぐ死神の雷を防げる者などいないだろう。 どこまでも獲物を追いつめ、幾度となく冥府へと誘い続ける……さながら亡霊のように! 「オーバードライブ―――Mode・FANTOM」 キミに相応しい名称だとは思わないかね! ……………… あまりにも荒唐無稽で聞くに堪えない物言いだった。 だから耳を貸さなかった。 主人だって、まさかあんな妄言に耳を貸すだなんて考えもしなかったのだ。 同時連装―――オールレンジ―――次元、跳躍砲――― キミなら使いこなせるだろう……さあ、証明しておくれプレシアテスタロッサ! 絶望と執念を究極まで煮詰めた者が一体どれほどの力を見せてくれるのか! ………………… ―――――― 「………………ぁ」 魂の抜けたような声を漏らし、使い魔は回想から戻ってくる。 画面を凝視する双眸を向けた先で――― ―――― バキン、と ――――― 何かが破裂するような音が響いた。 それは聞き間違いでなければ、間違いなく主人の体内から響いたものであり――― ―――――――佇む黒衣の魔導士の、到る所から……亀裂の生じたような音が……… プレシアテスタロッサVSギルガメッシュ ギルガメッシュ撃墜 プレシア勝利―――――――? ―――――― 「プ………プレシアァァァァーーーーーっ!!!!」 蒼白と表すしかない面持ちで玉座の間に転送してきたリニス。 メインルームの制御などそっちのけだった。 未だ立ち尽くす主人に駆け寄り、その身を後ろから抱き止めたのである。 すると何事もないかのように佇んでいた主人の体が…… 使い魔に抱かれた瞬間、力無く崩れ落ち、リニスに為すがままに体重を預けた。 その肉体は常軌を逸した熱に苛まれ、蛋白質の焼けるような匂いを場に醸し出す――― 跳躍法の多方向からの連射―――1発ですら全霊をかけて撃たねばならない大魔法のつるべ打ち。 オーバードライブと呼ばれる決戦モードによって叩き出された出力は そんな埒外を 「取りあえず」 可能にするだけの魔力量を確保するには至っていた。 「何て……何て馬鹿な事を……! しっかりして下さい!」 だが、どんなフィジカルを持とうが魔力が足りていようが無茶は無茶なのだ。 これは人類が間違いなく踏み込めない域の魔力行使。 そもそもプレシアテスタロッサのフィジカルデータはあくまで10年前と変わっていない。 なのにPT事件の頃より遥かに進化した、管理局の開発した最新鋭モードをその身に無理やり搭載させたらどうなる? 10年前のクルマにニトロのついた最新型エンジンを乗せて全開走行させたらどうなるというのか……? その結果が目の前のそれだ。 連装跳躍砲の2発目のトリガーを引いたところで―――彼女のリンカーコアに、その肉体ごと亀裂が入った。 左脳と、砲身である両腕の毛細血管が破裂し、滴り落ちる鮮血が介抱するリニスの衣服を朱に染める。 そして制御不能に陥った雷撃が術者である彼女自身を襲って牙を剥いたのだ。 (………………軽い) 脱力し、じっとりと汗ばむ主人の体の――――嗚呼………何と軽い事か。 ほとんど中身が詰まっていないのでは、と思わせる彼女の体は まるで糸の切れたマネキンのように力無く、無造作に手折られた小枝のように脆弱で頼りなかった。 怨執の鎧を身に纏い、英霊すら飲み込まんとした女渦―――その女の等身大の姿だった。 そう、忘れるものか……この感触。 使い魔はかつて、そんな病に蝕まれつつある主人の身を何度となく抱きかかえ、ベッドに寝かしつけたのだ。 この肉体はあの時から止まったまま。 そんなボロボロの器に、極限まで肥大した色々なモノを無理やり詰め込んで…… 何て…………何て………無茶で無為で、悲惨な有様なのだろうか。 (息苦しいでしょう……今、マスクを外しますから) 幸い他に誰も見ているものはいない。 その貌を―――誰かに晒す事も無い。 苦しげにヒュ、ヒュ、と気道を蠕動させているプレシアの背中を摩りながら、リニスは仮面に手をかけ――― ―――― ガコン! 「っ!!」 その音にビクンと肩を震わせる使い魔であった。 それは中央のモニターより響いた音、か? 何かがぶつかる音―――そこに映し出されているのは サンダーレイジによってバラバラに砕かれた黄金の舟の残骸だった。 ゴクリと唾を飲み込むリニスの視界にて、炭化し、藻屑となった飛行船ヴィマーナの…… ひしゃげた出入り口が―――今、勢い良く蹴り飛ばされたのだ!! ―――――― 吹っ飛んだ入り口から、据えた匂いを放つ黄金の具足が見える。 ズリ、ズリ、と引き摺るように這い出てくる人影が見える。 その体を外に運ぼうとして、残骸に挟まれた肉体―――炭化した右半身を呆然と見やる男の姿がある。 「――――――――――お、お……」 何を見ているのか理解できない。 何を見ているのか信じられない。 コレは何だ―――この醜く焼け爛れたモノは? よもやそれが、この世で最も尊い肉体の手であると――― よもやそれが、この世で最も尊い肉体の足であると――― ゆっくりと、男の理解に浸透していくにつれて――― やがてその表情に、言うまでもない一つの感情が浮き出てくる。 呆然とソレを見やる使い魔の眼前で――― 息も絶え絶えに、瓦礫と化したヴィマーナから無理やり自身の体を引き抜く。 ブチブチ、と肉体の腱が切れる音が場に響き渡る。 「おのれ…………おのれ―――――――おのれ、おのれ、おのれ………」 手負いの王が―――― 「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ、のぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ、れぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」 ―――――世界を滅さんばかりの絶叫を上げた。 ―――――― ―――――外した………… リニスは自身、体中の力が抜けていくのを実感していた。 やはりプレシアほどの魔導士であっても、あれだけの魔力行使をぶっつけ本番で成功させるのは無理だったのだ。 ただでさえ照準の難しい跳躍砲。 その暴れ狂う出力を制御出来ずに、僅かに直撃軌道から右に逸れ――― サーヴァントの急所である首を、心臓をスレスレで巻き込まずに、僅かに外れてしまっていたのだ。 「仕留めきれなかった………」 こんなに頑張ったのに…… 主人がここまで全てを投げ打ったというのに…… 涙ながらに結果を見据える使い魔の心胆はいかばかりのものか。 瀕死の状態に追い込んでも、倒し切れなければ意味が無い。 あのサーヴァントは「攻、防、支援、癒し」の全ての要素を内に持つからこそ最強なのだ。 あれだけの致命傷を受けてなお、蘇生レベルの復活を果たすだろう。 その余地も許さぬほどに、一度に葬り去らねば勝ちは無いと分かっていながら……… もはや何も出来ない自分達には、歯噛みするしか術が無い。 「あと一手、あと一手あれば……」 ――― 詰め将棋は手順を一歩間違えれば王を詰ます事は出来ない ――― その事を痛感せずにはいられない。 今、思えば弓兵を切るのが早すぎたのだ。 アレを捨て駒にするのは決まっていたが、ギルガメッシュを相手に拮抗すら出来なかったが故に 早々に見切りをつけて序盤で早くに捨てしまった。 それ故のこの結果。 シミュレーションに対して駒が一つ足りないのだから、詰めきれなくて当然だった。 とはいえ、この悔しさと口惜しさは到底、受け入れられるものではない。 (リニス) 「!」 自身を抱える使い魔にプレシアが念話を送る。 その声はやはり憔悴に落ちくぼみ、まるで生気が無い。 (そろそろスカリエッティが援軍を寄越すわ。 あの男も今、私という防波堤を失うのは死活問題だから) (喋らないで下さい……! もう神経も血管もズタズタなんですよ!?) (だから、それまで貴方がアレの相手をしておきなさい) ……………………… 「………………は?」 思わず肉声で返してしまう使い魔であった。 ―――――― 「雑ぁぁ種ゥゥゥゥーーーーーーーーーーーーー!!!」 王が周囲に残存していた傀儡兵を怒り任せに―――1薙ぎで全滅させていた。 ―――――― Rinis,s view ――― 「アレの…………ですか?」 思わず聞き返してしまう私。 念話だけに聞き逃すなんて事はなかったのだけれど…… 脳が現実を受け入れるのを拒否しているというか何というか――― (昔の貴方はとてもすばしっこい猫だった。 怒りに我を忘れた牛をあしらうくらい、どうとでもなるでしょう) 「ど……ッ!」 どうともなりませんよ、あんなもん! とんでもない事を言ってくる主人に対し、言葉を詰まらせる! ていうか神牛を相手に暴れた英霊を牛呼ばわりって……笑う所ですか、ひょっとして!? (やりなさい。 私やフェイトの居場所を護ってくれるのでしょう?) 「う、ぐう………っ」 こちらの言葉なんて聞く耳持たないご主人様。 ええ、思い出しました。 忘れるものですか……こういう所もまるで変わっていない。 ………………………………………………………………こういう、鬼みたいな所も。 「分かりましたよ……ええ、了解ですとも! メインコントロールを私に回してください!」 (いい子ね) まるで心の篭っていない労いの言葉を残し――― 未だに降って湧いたような展開を信じたくない私を残して、プレシアの体は腕から掻き消えてしまった。 恐らくは医務室にテレポートしたのでしょう。 嗚呼―――――ノーと言える使い魔になりたい…… ―――――― 明らかに自身には荷が勝ちすぎる相手を前にリニスは立った。 不平不満はあったにせよ(それはもう盛大に)、彼女は聡い使い魔である。 状況を正確に理解すればするほど、それしか無いという事を理解していた。 当然だ。 ここで自分が踏ん張らなければプレシアとフェイト、それにアルフの居場所を守れない。 結局、主人に言われるまでもなく、無茶で無理だと分かっていてもやるしか無かったのである。 「庭園、浮上! ファクトリーのラインに残った戦力も全て出して下さい! 機動兵を前面に出しつつ、徐々に後退!」 幸い、敵の足は潰した。 舟を壊され、あの体では追い足は無いに等しい。 怒り狂い、瀕死の重傷で、見るからに正気を失っている敵サーヴァント。 あれならば撤退戦に限定すれば何とかなるかも知れない。 徐々に引きながら―――慎重に時間を稼げれば……! ―――――― 「ヴィマーーーーーーーナッッッ!」 英雄王が吼え狂うように宝具の名を叫ぶ。 後方より穿たれた孔の中より――――再び、黄金に輝く古代の舟が現れた……… ―――――― 「………………」 ヘナヘナと崩れ落ち――――― 山猫はコンソロールに突っ伏していた。 「何、隻、持って………」 早くも心が折れて砕けてしまいそうだ。 今更とはいえ、節操が無いにも程があるだろう…… 「が、頑張ろう……………頑張るしか、無いじゃないですか……」 あまりにも重過ぎる責務と、要塞全体の負荷がリニスの体を苛む。 何分持つか分からない。 魔力が足らない。 庭園全てに張り巡らされた回路に送り込む動力にしても、自分ではまるで確保できない。 こんな有様ではまともに動かせるとは到底思えないが………ともあれ、やるだけの事はやろう。 絶望的と呼ぶのもおこがましい戦力差を前に――― 使い魔は己が愛すべき人達の玄関を守るための奮闘を決意する。 例え、それが業火の前の水鉄砲に等しい、ささやかな抵抗だったとしても―――― プレシアテスタロッサVSギルガメッシュ ギルガメッシュ辛くも生存 プレシア重症・魔力エンプティにより退場 時の庭園の全権をリニスに委譲 戦闘継続―――――― (フェイトは……弓兵を説得出来たのでしょうか?) 今からでも遅くは無い。 あの弓兵が再び参戦してくれれば、まるで話が違ってくるのだが…… まさに覆水盆にというか―――虫の良い話だとは思う。 だがそれでも可能性として無いわけではない以上、期待してしまう。 であると共に、母の力になるために動いてくれた優しい娘の安否をリニスは気遣う。 そんな少女の決意深き戦いの決着もまた―――――既に、、 ―――――― Girl of Fate Blade Worker5 ――― 「ハァ……ハァ……ハァ………っ」 血糊が、地面を赤く染める――― 抉られた脇腹から、太股を、ふくらはぎを伝って滴る命の液体。 弓兵と称されるサーヴァントの渾身の1投は想像を超えて余りあるものだった――― 少女は避ける事も凌ぐ事も出来なかったのだ。 何とか急所だけは外れているようだが、英霊を相手に戦える状態に無い事は自身が一番良く分かっていた。 (作戦は………間違ってなかった……だけど) 生まれてよりずっと厳しいトレーニングを続けてきたフェイト。 この年齢で推定AAA前後の実力を持つ彼女は、そこらの大人の魔導士よりも遥かに強い。 恐らく持って生まれた資質は、あの弓兵よりも上だろう。 だが―――それでも経験値はゼロ。 戦火の中で鍛えられてきた弓兵とは引き出しの多さと厚みが違う。 咄嗟の機転と、極限状態における爆発力。 そこに天と地ほどの差がある。 故にこれは埋めても埋めきれない、実戦経験の差が生んだ結果。 (戦術次第だなんて……その分野で上を行こうなんておこがましい話だった… 全部、私のミスだ……ごめん、アルフ) フェイトにとって不運だったのはスカリエッティから齎された情報の不明瞭さもある。 この英霊が他のサーヴァントよりも弱いという、数値のみで出した情報しか持ち得なかった事。 このアーチャーこそは基本スペックや先天スキルで他の英霊にあけられた溝を 特異な資質と戦術を駆使して埋め、互角の闘いを展開するに至った英霊だ。 彼の生涯において楽な戦いなど一つとしてなかった。 その一戦一戦で培われた思考の柔軟性と瞬発力。 それこそがピンチを凌ぎ、チャンスをモノにするのに一番必要になるもの。 男は絶対の窮地を凌ぎ続け、フェイトはアルフの負傷を含めた窮地に動揺して凌げなかった。 せめて5年、10年―――少女にも積み上げてきたモノがあったのならば、こんな結果にはならなかっただろう。 (ごめんなさい………母さん……リニス) 年端もいかない少女に酷な出血は、それでも何とかしようと奮い立つフェイトの意識を無慈悲に刈り取り――― 母親と、優しい師匠の顔を思い浮かべながら―――彼女の精神は闇に沈んでいった。 ―――――― 「フェイトぉぉぉーーーッッ!!」 盾にされ、あまつさえ屈辱にも地面に打ち捨てられた狼。 その断末魔にも似た絶叫が木霊する。 「こんの…………野郎ぉぉぉぉぉ!!!!」 怒りに打ち震える使い魔。 浅くない負傷を無視して立ち上がるアルフ。 猛り狂うその瞳に写るは憎っくき敵の姿。 少女の使い魔が牙を剥き出しにして弓兵に突進する。 (…………) 対して構えるアーチャーはもはや磐石。 フェイトの空爆と罠があったからこそ、地上戦で狼相手に手こずったのだ。 それが失われた今、彼女は弓兵の敵ではない。 双眸に怜悧な光を灯し、男は獣を仕留めようと双剣を翻す。 「むっ!!?」 だが突如、アーチャーを襲う焦燥と戸惑い。 獣の姿だった敵が目の前で人間の―――女の姿に変異したのだ! 一瞬の虚を突かれたアーチャーが双刃を引き下げ、ガードを上げる。 その防御に対し、アルフは己が拳骨を力いっぱい、骨まで砕けよ!とばかりに叩き付けたのだ! 「ぐっ……!」 横殴りに殴られ、後方の木まで吹っ飛ばされて叩きつけられるアーチャー。 生来の馬鹿力に、更に魔力を込めた右拳の一撃は鉄をも砕き割る。 「二刀流相手ならこっちの方がやりやすい! 遠距離専門相手に殴り合いで舐められてたまるかよ!」 弓兵の前に現れたのは、獣の姿だった時の毛並みと同色の、燃えるような長髪を称えた女だった。 豊満なボディに、機能美に溢れた力強い四肢を備え、天を突く怒髪を逆立たせて主を傷つけられた憤怒に燃える女性。 (人語を解する故、もしやと思ったが―――案の定か) 「立てよ……フェイトの仇だ! そのスカした面をボコ殴りにしてやるっ!!」 野性味溢れるワイルドな肢体を翻す獣耳の娘。 獣の時と同様、アルフは犬歯を剥き出しにして弓兵に襲い掛かる! ―――――― Arf,s view ――― ―――そんなこんなで突っかかったまでは良いんだけどさ……… 半分は本当に怒りだった。 マジでぶっ飛ばしてやろうって思った。 でももう半分は―――虚勢だったよ…… だって分かっちまうんだ。 コイツには勝てないって。 二人係でどうにもならなかったものを私一人で倒せるわけが無い。 今だって拳を交えてすぐに分かった。 コイツ強いって。 怒り任せに叩き潰してやろうとマグマみたいに煮え立った感情が、ヘンに冷静さを取り戻しちまうほどに。 ちくしょう……! サーヴァントってのは使い魔だろう!? 私と似たようなものの筈なのに、数値からして違い過ぎるじゃないか!? 初めは馬鹿力で押し込んでいたけれど、今じゃもう受け流されて鋭い反撃を食わないようにするだけで手一杯。 こんなのを生け捕りにするなんて初めから無理だったんだよフェイト! 「このっ! このっ!! チョコマカと!」 私のパンチが悉く空を切る。 木を凪ぎ倒し、地面を抉り取る拳も肝心のヤロウには掠りもしない! 当たれば何とか、なんて期待を持つ方が馬鹿だ! ここまで完璧に見切られてる以上、万に一つのまぐれも起こらない! 「っ!!?」 くそ……ッ! 懐に! 私の防御のリズムさえ読んで、薄くなった所を的確に狙い打ってきた! 白黒の刃がまるで霞のように私の四肢を通り過ぎ――― 「つっ!? ぎゃう……ッ!!」 手足の腱近くを綺麗に切り裂いていきやがった……! 痛っ……! 傷口から血がぶしゅーって景気良く飛び散る。 諸共に膂力を失っていく手足…… 「こ、こんなの………効くかぁ!!」 こちらを随時、観察するような怜悧な両目はまるで鷹だ……何とかその顔色くらいは変えてやりたいけれど…… 参ったよ……何も出来ないのかい。 いくらでも斬ってみろと相手を挑発する私だけど当然、強がりだ。 先に食らった腹の傷と合わせて既に6箇所。 もう、コイツの動きに付いていけない。 「…………」 くっそう……澄ました顔しやがって! でも私が倒れたら次はフェイトが止めを刺される番だ! 前言撤回、へこたれてなんかいられない! 敵わないまでも、何度でも立ち上がって食らい付いてやるさ! 膝を付かない事が私のせめてもの抵抗――― ―――――― 悲痛な表情で、倒れ付す少女の壁になるように立ち上がり続けるアルフ。 「去れ」 「……………………え?」 その顔が、男の言葉に呆然となる。 「無益な殺生は好まん……幸いにして、お前もあの少女も急所は外れている。 互いに刃を交わす間柄とて、こうもはっきりと優劣がついた以上―――何も死ぬまで斬り合う必要もなかろう」 「……え、えと………見逃してくれるって、言うのかい?」 信じられない。 一方的に襲い掛かって、罠を張って窮地に陥れ、散々痛めつけられた対象を 逆襲にて圧倒しておきながら、こちらを見逃がすと男は言ったのだ。 少女もアルフも英霊なんて謎めいた輩にここまでの事をやった以上、負ければ命を取られるくらいの事は覚悟していた。 それだけに、使い魔は男の言葉を咄嗟に飲み込めない。 「どうする? これ以上続けて無駄に命を散らせたい、というのならば……私は一向に構わんが」 鷹の目が一層鋭く獣娘を射抜く。 「ぐっ」と喉の奥からくぐもった声をあげるアルフ。 こうなってしまったら選択の余地なんて無い――― (あのババアはともかく、リニスを困らせる羽目になっちまうけど……) 当然の事ながら命にはかえられない。 頭を垂れる使い魔。 ピンと立っていた耳も尻尾も、しなれるように垂れる。 それが獣の完全なる戦意喪失を意味する事は言うまでもない。 「言葉に……甘えるよ。 そんな事、言っておいて後ろから撃たないでおくれよ?」 「そんな事をするくらいなら今ここで仕留めるさ。 早く行け。 ただし―――――次は無いぞ? 仲間にもそう伝えておけ」 「…………分かった。 恩に着るよ…」 苦しそうに地に付しているフェイトを抱きかかえるアルフ。 (早く手当てしないと……ちょっとの辛抱だからね、フェイト) 戦いに完全に負けた悔しさよりも、今は命が助かった事に安堵しつつ――― (それにしても……アイツ、良い奴じゃないか) ことにフェイトが殺されなかった事に胸を撫で下ろしながら 狼の使い魔は一度、チラリと弓兵に向き直った後、その場を後にする。 ―――――― from Fate to Fate ――― 「………………………………………………行ったか」 傷ついた少女を抱えて飛び去った獣女。 その背中を見据えて、アーチャーはポツリと呟く。 こちらが約束を違えない事を本当で信じているようだ。 もはやあの獣には男に対する警戒心などまるで無い。 素直で結構。 駆け引きで容易くこちらの思い通りに動いてくれる。 ことに獣は正直だ。 純然たる力の差を見せ付けてやれば、よっぽどの事が無い限り牙を剥いては来ない。 それに今、見逃してやった恩を感じているのならば再度こちらを狙って来た時でも、あの拳を全力で振るう事は難しいだろう。 「ふう……やれやれ」 女のハンマーパンチで切った口から、ペッと血泡を吐く男。 一息つくと、ようやく彼特有のふてぶてしい態度が戻った………かのように見えたが――― 木に寄りかかるアーチャーは何と、そのままズルズルと地面に座り込んでしまったのだ。 英雄王との一戦。 跳躍砲による奇襲。 そして今の戦い――― いずれも決定的な損傷は無かったものの、蓄積されたダメージは確実に弓兵を苛んでいたのだ。 特にあの稲妻の奇襲と、少女の雷矢。 掠っただけで、その身がカンナで削られ喪失したようなダメージを受けていた。 未だ撃たれた箇所は感覚が戻らず、両手の握力もほとんど残っていない。 ミッド式の魔力ダメージはサーヴァントに有効に働く。 ましてアーチャーの対魔力は最低ランクである。 それを受けてしまった場合、セイバーやライダー、ランサーなどよりも遥かに深刻なダメージを負ってしまうのだ。 もしあの獣が長期戦を仕掛けてきたならば実は危なかったのは男の方だっただけに、素直に引いてくれたのは大助かりだった。 流石にこれ以上は勘弁してくれよ………そう願う弓の英霊だったが――― 「勘弁………してくれんか」 星の巡りの悪さも筋金入りだな、と苦笑するサーヴァントである。 自身に高速で接近してくる者を、再びその鷹の目が捕らえたのだった。 恐らくは敵の第三波だろう。 「悪いが、これ以上は容赦も加減も出来ん。 この握力では馬鹿正直に切り結ぶわけにもいかんのでな―――悪く思うな」 まったく、こちらに何の恨みがあるのか知らないが降りかかる火の粉は払わねばならない。 迫る影はあからさまに、先ほどの少女と同系の武装を持った……女だった。 分かりやすくて何よりだ。 重い体を引き摺り、樹林が立ち並ぶ湿地帯に転がり込むアーチャー。 その木の枝に飛び乗って――― 「―――せいぜい上手く避けろ。 死なぬ程度にな」 弓のサーヴァントが再び、愛用の武装を敵に向ける―――その先には…… ―――――― Fate,s view ――― 次元振に酷似した反応を感知し、それを辿って来た私はそこで信じられないものを――― かつて家族と暮らしていた巨大次元航行船、時の庭園を目撃する。 驚愕、郷愁、混乱――― 私の思考を、脳を、ぐちゃぐちゃにしてくれた物をそのどれかに特定するのは難しい。 あるいは喜怒哀楽全ての感情がごちゃ混ぜになって頭の中を掻き乱したのかも知れない。 だってあそこには全てがあった……喜びも悲しみも……私を形成する全てがあったのだから。 逸る気持ちを、冷静に…!と必死に言い聞かせて踏み込んだこの地にて――― 眼前に広がっていたのは「戦闘」と………「戦争」。 私から見て近い方の、森に隣接した広場では戦闘。 詳しい状況は分からない。 そしてそこより奥まった平原で繰り広げられていた戦争の方は、状況なんて一目瞭然だった。 時の庭園と、ナニかが文字通りの雷撃戦を繰り広げていたんだ…… 幾つにも連なる爆発。 その熱波が顔を叩く。 遠目に見ているこの付近にすら届く爆炎と、巻き上がる灰と、そしてモノの焼ける焦げ臭い異臭。 鉄と火薬が花と散り、大気を鳴動させる―――紛う事なき戦の奏べ。 そして私の記憶に残る思い出の庭園が、巨大な一門の砲塔を掲げて質量兵器を撃ち放ったのを見た時…… 大事にしていた記憶、宝箱にしまっておいた欠けがえの無いものが捻じ曲がってしまった気がした。 「な………何が起こっているんだ? ここで…」 誰に問うでもなく呟いた言葉。 当然、答えは返って来ない。 動機が収まらない。 あそこに行かなくてはと思い、急くように飛んで来ておきながら…… 今、私の心を苛むのは 「踏み込んでしまったら後戻りは出来ない」 という、湧き上がるような恐怖だった。 「どうしよう……二箇所で起こっている戦闘行為……どちらに行けば…」 セオリーで言えば……………手前の小さな戦闘に先に介入するべきだ。 奥の大規模な方へと踏み込んで、手前の連中がどちらも敵だった場合、挟み撃ちを食らう羽目になる。 そう、理屈を並べて私は手前を選んだ――― ―――――庭園に突入する事の恐怖から………逃れるために。 ―――――― そして戦闘が行われている地点から程無い距離までさし迫った時――― Sir caution please 「なっ!?」 まだ相当数の飛距離があると安心しきっていた私の心胆を、バルディッシュの切迫した音声が叩き起こす! どれだけ離れた場所から来たのか想像も付かない――― それほど遠くから、超高速で飛来する物体が今まさに目と鼻の先に迫っていた! 「撃って来たっ!? くううっ!!!」 体を無理やり捻り込んで、無様なツイストで何とか直撃をかわす! ソニックブームと共に体の下を抜けていき、ぞぶりと―――下腹から胸にかけてのBJをこそげ取っていく何か! 遅れて寒気と共に、ドッと冷たい汗が全身を覆う……! 続けて2射、3射と撃ち込まれる矢が次々とBJを裂いて肉体を傷つける! 必死で回避する私! 狙撃手……! 戦いにおいて最も恐ろしい、防ぎようが無いとまで言われる凶手の名称だ。 その恐るべき殺し屋の射程に、迂闊にも足を踏み入れてしまった事を私はようやく思い知る。 後悔、先に立たずとはこの事。 どうやら私はババを引いたみたいだ……! ここで今更、止まったり引き返したりしたらそれこそ狙い打ち。 体に風穴が開いておしまい。 あの初弾を見ても分かる。 相手は神業のような腕前を持っていて、こちらの1秒の躊躇をも見逃さない凄腕だ! (もう………このまま行くしかない!) 「バルディッシュ! 敵の位置特定と回避は私がやるから 相手武装の発射の感知とタイミングのみに全センサーを回して!」 Yes sir. be careful 「頼んだよ……! 狙撃が相手じゃ視覚に頼るのは自殺行為だから。 今はデバイスの高速演算機能だけが頼り……!」 正面、目的地に見えるのはまばらに木が生えた湿地帯。 いかにもゲリラが潜んでいそうな、あそこに……敵がいる! 「全速! フルドライブ!!」 駆ける私。 その魔境の先に何が待っているのか、未だ知らずに――― ただ胸を焦がすような焦燥に苛まれ……飛び立った。 ―――――― 未だ雛鳥か――― それとも雛以上の何かになれたのか――― 震える大気か、それとも揺れる彼女の心自身が―――フェイトにそんな問いを投げかけた。 「フェイト」の名を冠する娘。 ――― その日、彼女は運命に出会う ――― 前 目次